第8話 鏡

そんなわけで、絵を描くことになった。

絵画は無理、抽象画も無理、肖像画も無理、


となると、イラストか・・・

イラストを軽視しているわけではないが、

イラストが一番、性格を見抜きやすいだろう。


というわけで描いた。

でも、手は抜きたくないので、自分なりに真剣に描いた。


「やはり、幼稚園レベルだ」


指定の日に、持っていた。

「ありがとう。あずかっておくね」

彼女に言われた。

「どうするの?」

「知り合いに専門家がいるから、その人に見せるよ」

顔の広い人だ・・・


数日後・・・


「おまたせ、見てもらったよ。君の絵」

「なんだって?」

「さすが、専門家だね。君の事を見抜いたよ」

どう見抜いたのだ?


「まず【絵は心を映す鏡】なの」

「鏡?」

「うん、わかる」

確かに、暗い気分で描くと、暗い影を落とすとはよく聞く。


「で、専門家がいうにわね」

「うん」

「まず君は、繊細で素直だね」

「そう・・・かな・・・」

「後、嫌なことはやりたくない」

「その通り」

「がんばらなくていいところで、がんばる」

「ギク」

「他にもあるけど、今日はこの辺りにしておくね」

他が気になる。


「で、次は何をすれば?」

「小説を書いてきて」

「絵の次は分ですか?」

「うん」

「また専門家に見せるの?」

「うん」

拒否権はないようだ。


「もちろん、短編でいいよ」

「どのくらい」

「10分で読めるくらい」

「わかった」

宿題が増えた。


「そうそう、忘れてた」

彼女が戻ってくる。


「はい、約束のなでなで」

だから、僕は犬でも猫でもない。

ないけど・・・

これはこれで、嬉しい。


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