第5話 似た者どうし

「書いてきたよ」

「見せて」

彼女に渡す。


「君、この球団のファンなんだね」

「ああ」

「マイナーだね」

「ほっとけ」

ひいき球団をけなされると、さすがにカチンと来る。


「でも、とても好きなんだね」

「えっ」

「見てるとわかるよ。細かく書いてある。

君は、本当に好きなんだね」

褒めているようだが、何だか釈然としない。


「どうして、このチームのファンになったの?」

「判官贔屓かな」

「そうなんだ」

「まあ、この球団のファンであることも、いじめを受けた原因なんだけどね」

人気球団のファンは、それだけで自分を上の世界の住人と思っている。

偏見と思われているが、そうなのだ。


「いつの世も、弱者が被る、罪と罰」

身を持ってしった。


「で、このチームのファンを止める気は?」

「ないね」

彼女はしばらく考えているようだった。


「これは時間がかかりそうだけど、大丈夫」

「えっ」

「私も、心の錆を落とすことができたから、君も大丈夫」

「どうして?」

「私が責任を持つ」

無責任なのか?少し腹が立つ。


「どうしてわかるの?」

「言ったでしょ!君と私は似てるって」

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