第29話
ウィスキーキャット。
タウン繁華街の中心部にその店はあった。
昔ながらの酒樽を猫が見守る店。
本来の鼠狩りより客との交流がメインとなり、今では猫カフェならぬ猫バーのような酒場。
不法滞在者、弁護士、政治家とあらゆる職業、人種の集まる場所で、雑多だが程良い秩序のある空間となっていた。
「店主を呼んでくれ。」とスタンリー。
スポーツバーのウェイトレスのような健康美女子が二人を一瞥すると奥へとローラースケートで滑りながら進んで行った。
入り口の傍らの暗がりから、巨体がゆっくり起き上がる気配。
「、、、、、。」
無言のまま二人の刑事を凝視しながら店のボディーガードらしい巨漢が見下ろした。
「ブッチ。そのままで。」
奥から黒猫を抱いた黒ずくめの毛皮をまとった女が現れた。
この店の女主人ジュディスだ。
かつてタウンの一角を牛耳っていた暴走集団”ソードキル”のボスの娘で、親譲りのこのバーを営んでいる。
「私が警察を憎んでるのを知ってるだろ。さっさと帰りな。」
ジュディスが冷たく言い放った。
無言でスタンリーがジリアンを出るように促す。
「おい。ジミーがこの店に逃げ込んだのは明らかなんだ。何故。」
納得のいかないジリアンの肩をつかんでスタンリーは外へ連れ出した。
因果なもんだな。
ジュディスは警官に両親を殺されジリアンは暴走族に右腕を奪われた。
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