第27話

雨だ。


ポツポツと雫、やがてシトシトと降り、ザーザーと瞬く間に大雨となった。 


リュシーが濡れないようにシンがくれた工事カバーマントの中に入れながら繁華街のネオンが滲む雑居ビルの街路を進む。


「この上着あったかいね。」


とゼプスの腕に寄り添うリュシーが微笑んだ。


降りしきる雨を避け近場の空き地の小屋に入った。


覇権争いで泥沼化してる都市開発の名残で空き家になった廃墟同然の一角。 


トタン屋根にはねる雫の音を聞きながらリュシーとゼプスは丸く互いに身を寄せて雨が止むのを待った。


「シズカニ。。」


ゼプスが右目のレーダーアイを緑に切り替えて索敵を始める。


敵を表す三角形の光点が七つ。


組織の追手か。


ゼプスより新型のアンドロイド"ネプチューン"。


スレンダーボディは女性を連想させる。


性能はゼプスが上だが数で不利だ。


七体も一度に相手は出来ない。


視界をさえぎる土砂降りの雨を味方に一歩一歩敵に近づいて行く。


個別に破壊していこうと敵の陣形がまとまらない攻撃方法を計算、斜め後方の1体から取りかかる。


豪雨でレーザーは使い物にならず右腕に内蔵されたブレードを引き出す。


忍者のような身のこなしで胴体をまっぷたつ。


がシャリと引き裂かれたネプチューンが倒れる。


破壊された味方の亡骸にいきり立ったように赤い光点を光らせて一気に襲いかかってくるネプチューン達。


海王神の名のごとく激しい雨の中をしなやかに舞うように進む。


2体を続けざまに葬り4体目に斬りつけるも背後からの攻撃に水たまりに叩き付けられた。


青白い火花をあげながら体勢を瞬時にたてなおすゼプス。


ほんの一瞬の油断が命取りになる。


足で敵の脛を蹴り付け転倒させると即座に腕の刃を叩き付けた。


後4体。


四方から迫るネプチューンに回転切りを繰り出す。


1体を胸から破壊し、もう1体は首をはね飛ばし行動不能に。


勢いにのって3体目の首も飛ばす。


最後の1体、、、、、、ゼプスの行動パターンを把握したネプチューンはフェイントを使って彼の腕を切り落とした。


「やめて。。。。。!」


リュシーが叫びながら隠れていた小屋から飛び出す。


ネプチューンは最重要人物の存在を悟ると虫の息のゼプスを放ってターゲットを少女に切り替えた。


よろめきながらゼプスのスキャナーアイが深紅に染まる。


残された左腕に仕込まれた救難信号用弾丸を放つ。


リュシー目がけて走るネプチューンの上部を粉々に砕いた。


よろよろと立ち上がったゼプスは駆け寄るリュシーをぐっと受け止めると「君ガ大事サ。」とつぶやいた。

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