第16話
「わたしの命も、もうすぐついえる。」
コムサット会長の苦悶に満ちた表情は、なんとしてでも死から逃れる術を探求してきた人間の生への渇望が見て取れた。
醜悪な。
側近のタサキは会長の目論みを憎悪しながらも阻止できない自分に苛立ちグラスを割るところだった。
感情をコントロールする術を身につけ、これまで組織の中でやってきた。
出世レースから脱落していくのは能力はあれど周囲とうまくやれない人間で時には苛立ち時には媚をうるような連中だ。
良き人間であり狡猾、
だから会長も自分を側に置く。
紙に目を通すとサインをいれコンピューターのスキャンに通した。
「紙はシュレッダーに。」
抜け目ない会長はタサキに念を押すと電動車椅子で奥のフロアへと消えて行った。
タサキは一つの望みを託して一通の機密書類をシュレッダー脇のゴミ箱へさりげなく放った。
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