第15話
「さーて。走りに行くか。」
大掛かりな仕事を終えて晴れ晴れとした顔でミルドレッドは愛用のバイクヘルメットを取り出した。
クリスマスが近かったんだったか。
ハンガー横の赤と白にカラーリングされたバイクにシーズン仕様にカスタマイズしたヘルメット。
「ヒッキーのフレッドが壁を破ってくれたよ。これから本拠地を叩く。」
身体にピッタリ、フィットしたライダースーツの上からサンタの衣装を身につけるミルドレッド。
「かなり厚着だが外は冷えてるし、調度いいかな。みんな準備はいいか。」
既にサンタの衣装でバイクに跨がった仲間達は敬礼を返した。
クロウラーがたったの7人だったとは。
呆気にとられたシンに「ニュースにでてるほとんどが遠隔操作のロボットだ。生身の人間は、ごく一部だよ。』」
ミルドレッドがニヒルに笑った。
「ヒッキーって誰?」
アキが真顔でたずねる。
「ひきこもりの略称だよ。もう40すぎなんだが部屋にこもりきりのクラッカーがいて凄腕なんだ。銀行から軍事機密まで出入り自由の男だ。」
「お前のまわりにはいつも奇抜な奴が集まるな。」と
唖然とした顔でグレンが答えた。
「君の方こそ、コムサットの重要参考人を連れ込むとは。監視カメラに映ってたの、あの村の戦闘で着てた装甲服だろ。あの子元気か。」
「ああ。」
その話には触れないでくれと言いたげな面持ちで素っ気なくグレンが返答。
あの子とはミルの事か、確認しようかアキは迷ったが立ち入った話になりそうなので傍観した。
「敵と味方で戦っていた人間がこんな形でまた会うとはな。でも僕は君を戦友だと思っている。世話になった。レスキュー部隊に合流できなかったら今頃こんなところにはいなかった。」
少し複雑な表情で話を聞きながらグレンがアキのいきさつを説明しはじめた。
「わかった。君の部隊にいたバスクのところへ行くといい。あれから連絡は取ってなかったのか。その筋では知られた武器商人だぞ。」
「バスク?」
「村人を4人も抱きかかえて走ってた奴だよ。強面の。
レスラー体型の。」
「?ダッジの事かひょっとして。」
「改名、偽名使ってるのかもな物騒な商売だと。」
かつて同じ部隊で戦った隊員のその後を知って死線を経験した者だけがわかちあうことのできる絆を思い出した。
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