第13話

ガタガタと激しく車が振動する中、キーボードを叩くグレン。


車を自動操縦に切り替えて安全なルート検索。


「何してるの。」


とアキが幾重にも重なったウィンドウモニターを覗き込みながらたずねる。


カーナビ経由で中央管理コンピューターへアクセスし


防壁越しに内部情報を探る。


ジャネットの旧友がつくったダイブソフトはかなりの高性能で大概の壁は突き抜けた。


「安全地帯を探してるのさ。マザーコンピューターをクラッキングで。お母さんから情報を引き出してる。」


「クラッカー?今、おなかすいてない。」


「いや。コンピューターをクラックする。。。ハッカーって言った方が世間では通ってるか。」


「アメもいらないよ。なんてね。それはハッカでした。あははは。」


「。。。。。」


いつの間にか冗談を飛ばすほど、くだけたアキの表情を眺めながら堅いスーツのいでたちから打ち解けた距離を感じるのだった。


「これから何処へ向かうの?」


「ひとまず、また行方を眩まさないとな。奴らも簡単に手出しできない場所さ。」


オートからマニュアルにドライヴモードを変更し重いステアリングを握りながらグレンは前を見据えた。


「まさかオクタゴンの巣?」


「いや。別の勢力さ。味方でも敵でもない。」


果たして試みが上手く行くかどうか一抹の不安をおぼえんながらスピードを速めた。

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