第7話
ラボから直通の地下鉄に乗り、開発途中の海浜都市に降り立つ。
この辺は度重なる不法侵入者やクロウラーの侵入により常に混乱状態にあり”組織”も手を焼いている。 奴らから身を隠す絶好の場所だ。
、、、う、、ん、、†ずっと窓の無い研究室にこもりっぱなしだった為、陽光が眩しい。
ふと立ち止まり、駅の出口から街を眺める。††
装置を預けたアキのことが脳裏をかすめる。
うまくボディーガードと接触できただろうか、、、、、。
我にかえり足早に雑踏にまぎれる。
今は、何の躊躇もしていられない。
一刻もはやく彼女から”装置”を受け取らねば。
少しふらついた足どりで通りを行く。
とめどなく続いた寝不足がたたって、起きている感覚が鈍い。
組織に追われる緊張感で何とか身体を動かしている。
昼間に街を歩くのは久しぶりだ。
普段は早朝か寝静まった人気の無いオフィス街を徹夜明けと酒でふらつきながら、会社と家の間を往復するのみだ。
休日はベッドの中。
レジャーなんて類いは、とうの昔に忘れてる。
研究室から連れ出した最新鋭のガーディアン、ゼプスが5メートル間隔でついてくる。
黒のニット帽、コート、アキの編んだマフラーでカムフラージュしてる。
少し目立つ、いでたちだが、ここはブティックが林立する地区なのですれ違う人間もさして気にもとめない。いや、もともと他人の事など無関心か、、、、、、。完全無人制御の工作マシーンが作業する上を歩く。†黙々と工事計画に従い一日のノルマをこなしていく。ろくに働きもせず、給与の値上げを要求する人間とは違う。
彼等は純粋でただひたすら目的を達する為、動き続ける。
いつの間にか、ヒトよりマシーンに愛着をもっている自分に気づく。
今思えばずっと研究に没頭し、久しく、くだけた会話をしていない。人間と。
利己的になり、己の損得勘定のみで動き機械化していく人間と†新たなAIの開発により”思いやり”もしくは”ゆうずう”の効く人間に近付いて行く機械、ひどくうつろな頭の中で、そんな考えが浮かぶ。
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