第3話
ー私だ。もうニュースになってる!
用心の為、ボックスから出た私は、向かいのビルのモニターに写しだされた自分に唖然とした。
組織の恐ろしさをあらためて認識する。
はやくもマスコミを味方につけ精神的に追い詰めるつもりだ。
どうせ装置のことは公表せず私の罪状は横領でもでっちあげているのだろう。
幸い私に気付いている者はいないようだ。
走り出したい衝動を必死におさえ、歩く。
目立つ行動は避けねばならない。
ーボディーガード!?
一台の”白”のバンが突然、私の前に滑り込んできた。
これで、ようやく一息つけそうだ。
はやく彼に会いたい。
しかし、そんな気持ちは一瞬にして消え去った。
完全武装のガーディアンを従えて、社のメインコンピュータと直結したHMDを装着した男が口許に微かな嘲笑をうかべながら悠然とたちはだかる。
ひどいめまいがする。
これが夢であってほしい。
騒動を聞きつけた通行人が集まる気配を感じながら願った。
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