第2話

計画は成功した。


今にも飛び出しそうな心臓を感じながら街角に立ち、追手の有無を確かめる。


ーどうやら、うまくまいたようだ。


束の間の安堵に、その場に倒れそうになる。


まだまだ油断は禁物だ。


疲れた身体にムチを打つ。


休む間もなく、彼に指定されたネットボックスに入る。


”組織”は街中だろうと、おかまいなしだ。


彼等の権力は、はかり知れない。


白昼堂々と人を消す。


「コード777、1+1、、、、、聞こえる?私。”装置”を奪った。」


震えのとまらない手で受話器を握り、息も絶え絶えに話す。


とうの昔に遺棄されたISDN回線を使う。


つながりが悪くモニターの映りが、ひどく悪い。


ノイズのかかった映像が不安をかきたてる。


「わかった。今、ボディーガードを向かわせている。そのボックスで待て。」


無事かどうかも聞かないなんて。私を何だと思っているのか。


「一人で大丈夫。そんなのかえって足手まといになるだけ。」


「いいから、その場を離れるな。グレーのバンが来るはずだ。後は、そいつにまかせろ。奴らに探知される恐れがあるので切る。」


「、、、、、まったく!」


否応なしに彼は映話を切ってしまった。


昨夜から緊張と不安にかられている私は、彼の顔をもっと見ていたかった、、、、、、。


ーそれにしても何の装置なの?ずいぶん軽いけど、、、、、。


いずれにせよ、今は一刻もはやく彼のもとへ行きたいと思う。


もはや安息の場は他に無いのだから。

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