第5話 こんな時は・・・。
学校帰りにカラオケ店へ。
熱狂的に歌いまくる千尋と、それを見守るオレ。。。
どうも嫌なことがあったようで、千尋の
「ヒロ! オレンジジュースとコーラ。 あとアイスコーヒーも持って来て!」
マイク使わんでも聞こえるっつーの(汗)。
オレはOKサインを出しつつ、『いやいや、グラス一人一つですから。』と、突っ込みを心の中で入れておきながら、ルームから離脱。
ドリンクバーに向かうと、中学からの同級生で男勝りな話し方が特徴的なクラスメートがいた。
「おぉ、桜井。お前もか。」
「おぉ・・・てか、2時間経つが、まだ1曲も歌っとらん。」
クラスメートは
「長瀬の憂さ晴らしに付き合あってる。今日、なんかあったようだ。」というと、
「あぁ、多分あのことだろ。」と切り返された。
なんか知ってんのか?と、尋ねたところ、
「聞いた話なんだがな・・・」といって、話し始めた。
そいつの話によると、千尋は昼休みに他のクラスの女子に呼び出され、口論になったらしい。
内容は、仮にA子とするが、このA子が好意を寄せている男子(仮にB男としよう。)が、千尋に告白をした。
千尋はそれに対して、丁重にお断りをしたと。
そのことを知ったA子が、「付き合って欲しいとは思わないが、あんな素敵なB男君をあっさり振るなんて何様だ!ちょっと美人で人気があるからって、お高く止まってんじゃないわよ!」的なことを味方2人引き連れて千尋に物申した。
千尋は、「B男君のことはよく知らないし、今、誰かとお付き合いをするつもりはない。」、とA子に告げたところ、
「桜井とデキてるくせに、付き合うつもりはないとかよくいうわよ!あんな男の通い妻やってるくせに白々しい。一体、桜井なんかのどこがいいのよ?あんなのB男君の足元にも及ばないし、良いとこなんて一つもないわ!」、的なこと
「あたしがあんた達にどういわれようと一向に構わない。だけど、今回のことに
ヒロは全く関係ない!通い妻とか、なんとか言いたいなら好きに言えばいい。
でもね、人様の家庭の事情を知りもしないで、土足で上がり込むんじゃないわよ!
ヒロの迷惑になるようなことをしたら、あんた達のこと、絶対に許さない!!
高校生活これからまだ2年ぐらいはあるんだから、覚悟しておきなさいよねっ!!!
」、と脅され、3人の
「そういうことか・・・。」
思わずため息。
千尋は言い方について、『やっちまった。』、という自責の念にかられたのだろう。
「長瀬はお前のことになると、人が変わるからなー。」
と、しみじみ。
「?」
「? 知らないのか? 昔からだぞ?」
「へ?」
「まー、その辺はお前もだけどな(笑)。」
といって、戻って行った。
オレは、クラスメートの後姿を目で追いかけながら一言。
「はぁぁあ?」
相当、間が抜けていたと思う。
そして、【告白された】ということに、なぜだろう?
胸の辺りがチクリとした。
でも、それより、、、
『ヒロくんは、チーが守るからね。』あの時のことを想いだす。
『ありがとな。 でも、無理すんなよ。』、そう心の中で呟く。
ルームに戻ると、「ヒロもなんか歌いなさいよ。」
といって、デンモクを差し出す。
オレはジンジャーエールと温かいコーンポタージュをおもむろに差出し様子をみる。
それから、「おー♪」、と返事をして検索にかかる。
千尋は…満足そうに両方少しずつ口に含む♪
こういう時、オレからは何も聞かない。
そうすると、
「・・・ねー、ヒロ。」
「どした?」
「実は、今日ね・・・」
という具合に、チーが話し始める。
結局この日は、1曲も歌わずに帰ることになった。
この間、オレはチーの話を真剣に聞き、受け止め、オレが助言できることをした。
こんなちっちゃなことだけれど、もし、多少役に立てたとしたら嬉しい。
守られてばかりじゃ、ね。
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