第4話 黒縁めがね
【黒縁めがね】
休日。
今日は千尋と商店街の写真屋に焼き増しをしてもらいに来た。
少しかかるということなので、駅前のハンバーガーショップ【楽どーなるの?】へ。
2階の窓際、千尋とハンバーガーセットを対面で食しながら、銀の翼について、お互い熱く語っているところだった。
「千尋ちゃん?」と、千尋を呼ぶ声がしたので、2人して声の方へ。
「…美咲ちゃん!久しぶり!元気だった!?今日はどうしたの?誰かと一緒?」
と、千尋の矢継ぎ早な質問が声の主へ飛ぶ。
「ぁ、ぅん。 お昼ついでに勉強しよっかなって思って…一人だよ。」(微笑)。
相手はしどろもどろになりながらも答えていく。
「えー!そうなんだぁ!偉いね!」
萌えの主は×、声の主は、萌え声だった○。
それはさておき、どっかで・・・。
「とりあえずこっち座って♪」
千尋が強引に横に座らせる。
「ぁ!?、ぅ、ぅん…(汗)。」
ほぼ、いいなりに見えなくもない。
なんともお
「桜井♪ 覚えてるでしょ? 美咲ちゃん!」
『ウッ!?何、その知っていて当たり前のようなフリは!?
とりあえず合わせときながら思い出そう(汗)。』
「お~、チーの仲良しだっ、痛っ!」
大地母神様ゆずりのニコ(^^)♪やかなる、
【慈悲深くない】すねへの蹴り一発。
どうしても忘れてしまう。
学校や友達がいる時には、【チー】と呼んではいけないことを・・・。
「?」
黒縁めがねがキョトンとしている・・・黒縁めがね?・・ん~?・・んー…んっ!?、おぉっ!思い出した。!
小島をいつもかけている黒縁めがねだ!・・・×、
黒縁めがねをいつもかけている小島だ!・・・○
「お、覚えてるに決まってんじゃん♪(汗)
千、グッ!?(2発目(涙))・・・な、長瀬の友達で、
同じクラスだったことのある・・・。」
「そう!小島美咲ちゃん♪」
この間の話に出て来てくれて助かった。
『知らん』といったら、また滅殺されかねん(震)。
「美咲ちゃんも覚えてるよねぇ~?」
ん? なんだ、千尋のその顔は?
記憶に蘇ってきたが、小島の顔をまともに見たことがない。
話す時はいつも下を向いて、オレの上履きと話をしていたからだ。
なので、オレも顔を見ないように、黒縁めがねと話をしていた。
「ぇっ!?…ぁ、ぅん。ぉ、覚えてる…よ。」、(汗汗)。
小柄な上に、話す声も小さいのか。。。
誰かBGMを切ってくれ(-・-;)。
「ん?」小島の様子が少し気になり、失礼かとは思ったが、
手で口元を隠して小声で千尋に話しかける。
「チー、こいつ大丈夫か?熱でもあるんじゃないか?耳が真っ赤だぞ。」
と、伝え終わった瞬間、ㇵヒッ!?
3発目(><!)…な、なぜだ。。。
千尋は全く気にする様子もなく、
「美咲ちゃん、学校はどう?」
「ぅ、うん。勉強は大変だけど、友達も直ぐに出来たし楽しいよ♪」
「進学校だもんね。」
「千尋ちゃんも入学すればよかったのに…。」
小島は心底残念そうにいう。
「ゎ!? 私は、家から近い方がいいから…(照)。」
オレは頑張った結果、家から近いのだが・・・。
とまー、女子2人いれば会話も弾むってもんで、
オレは暫く外野にて様子を見ていた。
『へー、小島って、千尋と話す時は顔見て話すんだな。』
初めて小島の顔をまともに見た。
いわゆる萌え系女子ってやつだろう。
そんなオレに対して、どちらからともなく視線をよこす。
小島の方は、サッと直ぐに下を向き、また耳が赤に変わった。
敵意の表れか?(汗)。
「なによ?」千尋が怪訝そうに聞く。
「ん? 小島ってかわいい顔してんだなと思って。
なんなら、めがねやめてコンタクトにでもしたらいいんじゃねーの?」
―――――――――――――――――――――――――――――――!!!
一瞬で場が凍りついた。
オレにはやはり、禁断の魔法でもあるのだろうか?
完全に2人の時を止めてしまった。
小島の理由は、残念だがわからん。
もしかして、最近よく聞くハラスメントというやつだろうか!?
よしっ!、直ぐに謝罪して訴えられないようにしよう!
だが、、、千尋の固まっている理由は想像できる。。。ってか間違いない、
こうだ。
『あんたの知っている日本語の中に、人に対して【かわいい】っていう言葉があったのね(驚)・・・漢字で書けないでしょうけど。』だ。
馬鹿にするな。ちゃんと後で調べとく。
「あ、小島悪い。変なこと言って。」
「●∥■ДИ◆£…。」
『小島、悪いがオレは、お前とは幼馴染ではない…。』
「小島にとって、話にくい相手なんだろうし、嫌ってるかもしれないのに悪かった。ごめん。」と、素直に謝ったところ、
「そんなことない!」
バンッ!と、小島はテーブルを叩くと同時に、驚いて
3秒経過・・・ピクリともしない。。。
5秒経過・・・顔の筋肉が痙攣しだしてるぞ(汗)。
7秒経過・・・目の玉グルグルまわってる(怪)。
10秒経過! 赤を通り越して青ざめてる! しかも頭から湯気~っ!?
「血、ちっ、千ホロちゃん、わたす用事おもいだしちゃったから・・・、
かっ、か、カエルね・・・。」
「あ、美咲ちゃん!」
時の流れを取り戻した千尋が声をかける。
小島は、ポシェットと勉強道具をすばやく抱え込むと、良く似合うショートカットを振り乱しながら、猛スピードで降りて行った。。。
千尋の哀愁(あいしゅう)漂う右手が、空を虚しくさまよう。
「ま、またね・・・(汗)。」
千尋は姿の見えなくなった小島に、別れの挨拶をするのだった。
「な、なんだったんだ?(汗)。」
オレは【壁ドン!】ならぬ【テーブルドン!】に事の
「まーいいんじゃない?」と、千尋は意味深な表情を浮かべる。
「そ、そうか?」
「とりあえず美咲ちゃん、あんたのこと嫌いではないよ。」
「そうなのか?」
全くわからんが、千尋の言葉を頼りに訴えられる心配がなくなったと、
信じることにした。
「さて、そろそろ行ってみよっか?」
「ぉ、おう♪」
千尋の号令と共に、動き出す。
オレは平静さを取り戻そうと、千尋のぶんもトレ―を片付けるのだった。
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