第13話 早朝限定の美味しいもの

 早朝の5時半から托鉢を見学すると、そのまま宿に戻っても朝食の時間には少し早すぎる。もう一度寝直してもよいのだが、せっかくなので地元の朝市をのぞいてみることにした。朝市の会場となっている細い路地には、地元の人たちが布を敷いて畑でとってきた野菜や山でとってきたと思われるきのこなどを売っている。日本ではなじみのない食材、例えば水牛の革、コウモリ、ネズミ、小さなコガネムシのような虫なども売られていて、見て回るだけでも面白い。食肉が売られているエリアでは、冷蔵設備の無い木製の棚の上に大量の生肉が積み上げられ、注文に応じて売り子のおばさんが大きな肉切り包丁で豪快に肉を刻んでいく。

 市場をさらに進んでいくと、なにやら湯気が上がっている屋台に出会う。店に立つおばちゃんがかき混ぜている大きな鍋をのぞいてみると、中には大量のお粥が入っていた。宿の朝食にも飽きていたので、この日の朝食はこのお粥にしたのだが、これがおいしい。日本のお粥とは違い、小海老と鳥を煮込んだスープをベースにしてしっかりと味がつけられている。このお粥にトッピングで追加した煮卵を崩しながら食べるのが朝の胃袋にベストマッチする。

 お粥の屋台は早朝のみの営業で、9時頃にはすっかり街から消え去ってしまう。早起きしてでも食べに行く価値のあるおいしさなので、ルアンパバーンに滞在する機会があればおぜひ試してもらいた。

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