第8話 レッツサイクリング!
トレッキング翌日の朝、目が覚めると予想通りの筋肉痛に襲われた。そのまま寝てようかという考えが一瞬頭をよぎったものの、旅先での一日をずっと宿で過ごすのはもったいないだろうと思い、ぎこちない足取りで外に出た。特に何か予定があったわけでもないので、宿の近くで自転車をレンタルして町の外に広がる田園地帯を気ままに走り回ってみることにした。
レンタルした自転車にまたがり店を出発し、最初の角を曲がる。筋肉痛なので軽めのギアに切り替えようと変速機を操作したその瞬間、足から負荷が消えた。負荷ゼロ、全く抵抗がないというか空回りしている。なんてことはない、チェーンが外れたのだ。出発してから1分もたたないうちにレンタル店に戻り、今度はチェーンの張り具合もちゃんとチェックしたうえで別の自転車を借りて、ギアチェンジはしないでおこうと心に誓って再び出発した。
バンビエンの街から南西方向に向かう橋を渡ると田園風景が目の前に広がる。ちょうど稲刈りの季節ということもあり、畑で働く農家の人々と、その周りでのんびり草を食べている牛たちが見える。遠くに見える山々を眺めながら、あんな岩山よく登ったものだなとしみじみ思いながら、集落部分へと進んでいく。
集落に入ると、大人たちは農作業に出て行ってしまっているのか、出会うのは子供たちばかりで、牛を追いかけたりサッカーをしたりと思い思いに遊んでいる。たまに好奇心の強い子供たちがカメラに向かってポーズをとってきたりするので写真を撮ってみせたり、雑貨屋の軒先でジュースを飲んだりしながら、のんびりとした一日を過ごした。もちろん筋肉痛は悪化した。未舗装の道を一日中自転車で走り回っていたのだから、そりゃそうだろう。たまにはこんな日があってもいいんじゃないだろうか。
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