第3話 黄金に輝く寺院

 ビエンチャンで面白い場所はないかとホテルで尋ねたところ「金色のでっかいお寺がるから見に行ってきたらいいよ」とおすすめされたのがタート・ルアンという寺院だった。なんとなく往年の名作ゲーム「タントアール」を思い出させるような名前だなと思いながらトゥクトゥクに乗っていると、遠くからでも一目でわかるくらいに金色に輝く大きな寺院が見えてくる。まさに「金ピカ」という表現が似合う。

 以前訪れたミャンマーでも同じように金色で埋め尽くされた寺院や仏像はいくつか見た。ミャンマーでは「参拝客に金箔を売り、参拝客は考究した金箔を仏像や寺院に張り付けることで徳を積むことができる」というシステムで黄金の維持していたのだが、ラオスではそういった金箔販売による金ピカ維持システムはおこなわれていないようだった。もちろんミャンマーでもすべての寺院で同じようなシステムだったわけではないので宗派やその他さまざまな要因で異なるのかもしれないが、国や地域によってこういう違いが見えてくるのもなかなか面白いものだ。

 タート・ルアン以外にもビエンチャンには古くからの寺院がいくつかあり、それらの寺院も見て回ったが、やはりどこも日本の金閣寺のように金色にあふれていた。黄金は確かにきれいなのだが、表面が金色で固められているがゆえに、その建物や仏像が過ごしてきた月日の積み重ねのようなものを感じにくいのは少し残念だなと思ったりもするのだが、観光客のそんな思いよりも、地元の人たちの日々の信仰のために黄金で固められているというのは、これはこれで正しい姿なのかもしれない。黄金がいい具合に剥がれ、年代を経た仏像雰囲気を出す仏像は博物館に行けばいいのだから。

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