雪也の想い(7)
あの夜、コンビニで買ったアイスを食べながらの道すがら、來夢が手を繋ぎたいと言った時、雪也は密かに速やかに心を決めた。
手にびっしょりと汗をかいた。
來夢には自分の心が読めなかった。
何度も來夢の表情を確認したが、來夢は嬉しそうな顔をしているだけで、自分たちの秘密を知ったようにはとても見えなかった。
なぜだ?
いくら考えても分からない。
クリスマスイヴの夜もそうだった。
あの時雪也はまだ起きていた。
來夢がそっと自分の額に触れた時、今度こそはと心を決めた。
來夢はまったく自分の心が読めないようではないみたいだった。
もし全然読めないのであればそう言っただろうし、何も言わないところをみると、何かは伝わっているようだった。
自分の何が読まれているのかは分からなかったが、とにかく自分たちの秘密が來夢に伝わっていないのは確かだった。
もしかしたら來夢に1番近い自分は逆に來夢に対抗する力を持ってるのかも知れない。
調べてみて分かったのが圧倒的に女性が多いユタだが、数は少ないが男にもユタがいるらしいということだった。その中に音楽活動をしているユタの男がいた。
その男に連絡を取ってみた。
自分と來夢が恋愛関係にあることを除いて全て話した。
話さなくても見抜かれていたかも知れないが……。
男は言った。
それは十分にあり得ると。
安堵と共に得体の知れない何かが重くのしかかってきたのが分かった。
自分は一生死ぬまでこの秘密をひとり抱えて生きていくのか?
來夢を守りたいと言いながら、心のどこかで誰かが自分のこの想いを共有してくれることを望んでいた。
それが來夢であってくれたらと思ったことがない訳ではない。
だから來夢に一緒に死のうなんて言い続けた。
それを言うことで本心が冗談になったような気がした。
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