雪也との想い出(5)


 7月6日


 雨。


 ついに今日雪也を問いただしてしまった。


 なんで抱いてくれないのかって。


 わたしももう限界だったから。


 雪也は黙ったまま何も言わなかった。


 別れ話をするつもりなんてこれっぽっちもなかったのに感情的になってしまって『だったらもう別れる!』って言ったら雪也も怒って『だったらそうしろよ』って怒鳴った。


 泣きながら雪也の部屋を出てきた。


 まだ雪也から連絡はこない。


 本当に別れるつもりなのかな?


 いやだよわたし。






 7月7日

 

 昨日からの雨はまだ止まず。


 気分転換に先月入会したのに早速足が遠のいている駅前のジムに行ってみた。


 見よう見まねでウェイトトレーニングをやってみた。


 筋肉に効いているのかいないのかよく分からなかったが、とりあえずその場にあるマシーン全部やってみた。


 腹筋のマシーンを使っているとき横で二の腕のマシーンを使っている男の人と何度か目が合った。


 トレーニングの後サウナに入ってゆっくり湯船に浸かった。


 ここのジムのお風呂は広い。


 入会を決めたのもお風呂目的といっても過言ではない。


 トレーニングは無理でもせめてお風呂にだけでももっと入りに来ようと思った。


 ジムを出るときに誰かに呼び止められた。


 見ると何度か目が合った男の人だった。


 なんとわたし、その人とホテルに行ってしまった。


 ベッドの中でも外さないわたしの手袋に彼はすごい興奮してた。


 男の人とセックスしたのは何年ぶりだろう。


 雪也以外の人とは絶対に嫌だと思っていたのに。


 後悔するかなって思ったけど、別にしなかった。


 自分の知らないところでわたしの心はどこか少し変になっちゃっているのかも知れない。


 雪也にずっと抱かれなかったから……。


 そういえば今日は七夕だった。

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