第4話 水色髪の少女
窓から差し込む日差しが眩しい。
お昼近くまで寝ていた春兎は流石に起きなきゃと体を起こす。
隣の布団にフレイの姿が無いことから、 どこかへ出掛けたのだろう。
――それにしても... 体が重い。
何かこう引っ張られているような... 引っ張られて......!?
春兎はすぐに布団をめくった。
そこには気持ち良さそうに寝ている
水色髪の少女の姿が、 そこにはあった。
――夢じゃなかった。
ちょっと待てよ一旦整理だ。 確か俺は昨日盗賊を倒して、
ギルド商館に寄って色々手続きを済ませ、
疲れ切ってそのままベッドで眠った。
そして朝起きたらこの子が俺に抱き着いていた・・・うん! わからん!
とりあえずだ、 この子を起こして話を聞かないと、
てかその前に服! なんでこの子裸なの!?
そりゃあキメの細かな柔らかそうな白い肌で
純真無垢という言葉が相応しいほどの肌だけど・・・ って違う違う!!
そうじゃなくて! こんなところフレイにでも見られたら何て言われるか。
しかし無情にも扉の開く音が部屋に響く。
「いやぁ。 お腹空いて起きちゃったよ~。 あれ春兎も起き・・・ 」
「ちょっと落ち着こう! なっ! 」
フレイは笑顔で春兎に詰め寄る。
顔は
「えと、 フレイ……さん?
「大丈夫大丈夫。 私信じてるから 」
—―良かった。 フレイは分かって・・・
「ちょっと警備兵呼んでくるから待っててね? 」
――分かってなかった!!
「待て待て! 本当に知らないんだってば!!
朝起きたらこの子が抱き着いていて」
「ほーう。 私の知らないところでお楽しみとは、 いいご身分なもので 」
「違うんだってば!! 」
二人がが言い争いをしているのが聞こえたのか、
その少女はムクリと起きた。
そして何が起きたのか分からないという風に首を傾げた。
首を傾げたいのはこっちなんだけどと思いつつも
その少女を見ると服を着ておらず、真っ白なキメの細かい肌が姿を現す。
それを見て春兎は慌てて目を逸らした。
少女はまだ少し寝ぼけているのだろうか二人に問う。
「確か、 昨日ご主人様の布団に入って暖かくて寝ちゃって...
何で私、ここにいるの? 」
「「・・・知らないよ!! 」」
思わずフレイと声が重なっててしまった。
――とりあえず裸のままは目の保養・・・いやいやいや目のやり場に困るので
俺の制服でも貸すか。
春兎は目の前の少女に自身の制服を貸したが、
少しだけ貸したことを後悔した。
――何か逆にエロくなってるような・・・仕方ない。
これは応急処置、 仕方ない。
「おぉーぶかぶかぁ 」
――ぶかぶかって、 そりゃあそうでしょ。
見たところ慎重150センチ無いくらいか。
俺と約20センチ違うんだ。
とりあえず話を進めないことには、
こっちにいるロリ神様が鬼の形相だからな。
「えーっと、 何で俺の布団にはいってたの? 」
「ご主人様の近くにいたくて 」
「名前は? 」
「んー、ないかなぁ 」
「何で裸? 」
「気づいたらこうなってた 」
「ご主人様? 気づいたら?? 春兎、
「違う違う! 何かの間違いだってば!
あ、そういえば!さっき気づいたら人の姿になってたって言ったよね 」
「うん。言ったよぉ 」
「じゃあ人になる前はなんだったの? 」
「人になる前? それは分かるよぉ。
獣の姿だったんだけど 」
――氷狼?それって・・・
「もしかして昨日の盗賊に捕まってた? 」
「そぉだよ。 昨日の盗賊を倒す姿見てカッコイイなって思って、
この人なら私のご主人様になってもいいかなって思って来たんだけどご主人様
寝てたしそれで潜ったら私も寝ちゃってて 」
――人からカッコイイ何て初めて言われた。 いや氷狼だけど。
そこまで話を聞いててフレイは、 声を漏らした。
「え、 昨日のってあんただったの?? 」
「フレイ、 昨日のとは? 」
「昨日、 何者かがここに来る気配があったから、 私が攻撃形の魔法をかけたんだよね。 」
「ほうほう。 その魔法とは? 」
「いやぁ、それが寝ぼけていて何かけたのかなぁって・・・退治出来たっぽいし
確認せずに戻ったんだよねー。ってあれ? 春兎さん?
何でそんな鬼のような形相で… ちょ、 待って 。あぁぁあああああああ! 」
「お前の仕業だったんじゃねえか!! 」
今日朝一のグリグリを春兎はフレイにお見舞いした。
「痛たたたたたたた! だって仕方なかったじゃない! 盗賊が仕返しにきたと
思ったんだもの! それに効果は一時的だからすぐ解けるわよ! 」
春兎はフレイを解放して氷狼である彼女に、 どこか痛むところとか
不調が無いか聞いた。
その問いに彼女は問題ないと答える。
その答えを聞いて安心すると同時に体調にも問題なくて何よりだと思った。
そこでまたしても彼女は声をあげる。
「あっ!! 」
「今度は何だ!? 」
「ごめん、 今呪文発動履歴調べたら、 彼女にかけた魔法間違っちゃってた 」
「え?それってつまり 」
「・・・ 一生そのまま 」
「何ィ――!? 一体どんな呪文使ったんだよ!! 」
「変化形、 最大級の呪文。
――変化形なんて分類あんのかよ。
しかも最大級って・・・
待て? 一回きり??
くそ使えねー魔法じゃねーかよ!!
「ちなみに元に戻る方法は? 」
「ない!! 」
「ないじゃねーよ! どうしてくれるんだよ! 」
「仕方ないでしょ! 寝ぼけてたのよ!! 」
――寝ぼけてたとして呪文間違うかよ!
流石幸運度マイナスだな!
「ご主人様・・・ 」
二人のやり取りを見てた氷狼の少女が春兎へ詰め寄る。
流石の春兎も心臓の鼓動がはやくなった。
いくら少女といえど、いくら氷狼だとしても、
可愛すぎると不覚にも感じてしまったのだ。
「え、 えと何かな?? 」
目のやり場に困りながら春兎は氷狼の少女の言葉を聞いた。
「私、 このままでいい。 このほうがご主人様を近くで感じられる。
それに・・・ 」
――それに??
「ご主人様に抱き着ける 」
そういって氷狼の少女は春兎に抱き着いた。
彼女の小さな膨らみが自分の身体に当たってるのが申し訳なくて
一度彼女を自分の隣に座らせた。
「ご主人様お願い! 私をこのパーティにいれて! 」
――唐突だな。 しかしどうする。 こっちにはフレイがいるし、
こいつが許可するかどうか、
春兎はチラッとフレイのほうを見た。
その視線に気づいたフレイは別に問題ないと促した。
「パーティにいれるのは良いとして、 そのご主人様てのやめてくれないか?
言われ慣れてないから何か違和感が 」
「じゃあなんて呼べば? 」
「春兎でいいよ 」
「分かった。 春兎兄ちゃん 」
――兄ちゃ・・・まぁいいか。 そのくらいは。
「後は君の名前だけど・・・ 」
「春兎兄ちゃんが決めて? 」
「俺が?? 」
――うーん。 弱ったなぁ。 ゲームとかではつけたことあるけど
実際につけるとなると。
「じゃあ、 ヒナってどうかな? 」
「ヒナ・・・うん。 この名前好き 」
「じゃあ改めてよろしくねヒナ 」
「こちらこそよろしく。 春兎兄ちゃん 」
――ヒナって名前、 氷のつく名前でヒナは安直すぎたかな。
そんなこんなで、 早くもパーティに三人目が追加されたが
パーティがロリに染まっていきそうで素直に喜べない春兎であった。
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