第1話 俺が助けようとしたヒロインは……(5)

 火焔かえんRAIDERレイダーマナ――少女が名乗った二つ名を、ユウキはただ黙って聞いていたわけではなかった。


 「……俺の肩書、横取りするなぁぁぁ!!」


 しかしさっきからずっとそうなのだが、マナはユウキに聞く耳を持たなかった。

 ひとつだけ言えるのは、彼女は足先から頭の先まで、変身ヒーローに「なりきっている」ということだ。


 (何だかよくわかんねぇが……あの、完全に……氷上で音楽が鳴った瞬間の羽生はにゅう結弦ゆづるのように!完全に自分だけの世界に入り込んでいる!!)


 そんなユウキの焦りをよそに、マナは目の前の怪物に堂々たる宣戦布告を叩きつけてみせた。


 「この町の平和を乱すものはこの私が許さない!きっちり成敗させてもらうわ!!」


 怪物に対峙するマナだったが、中1という年相応に小さな体は怪物の大きさと比べるといっそう小さく見える。


 しかし火焔かえんRAIDERレイダーマナ、そんなことはちっとも気にかける様子もなく、果敢に怪物へと飛びかかっていったのだった!

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