第3話

少年と少女は殺し合いをしてしまう宿命から逃れられないでいた。お互いに手を握られたり握ったりすると宿命を思い出す。一方があきらめて簡単に殺されることもあれば、抵抗して長引くこともあった。だが、保健室で死ぬ運命からは逃れられないでいた。

そうしているうち、デジャブを感じるようになっていった。


保健室で目を覚ました少年は、なぜか突風がふく予感がした。少年は窓に向かって歩き始めた。途中、何かにつまづきそうになり、近くにあったカーテンをつかんだ勢いで、カーテンが開き、ふと目をやると少女が横になっているのが目に入ってきた。


えっ、どこかでみたことあるかな。


そう考えていると、突風が吹いてきた。棒のような物が少女の方めがけて倒れてくる。とっさに少女をかばうように少年は背中で棒を受け止めた。少年の上体は少女に覆い被さる形になった。ぎりぎりの距離で持ちこたえた。


暖かい。息づかいが聞こえる。


少女と、かなり距離が近くなっていた。


少女はぱっと目を見開いた。


突如、少年は少女に触れると何か悪いことがおこる予感がした。すぐに距離をとろうと思った。直後、上体を支えていた腕に変な力が働いでバランスを崩した。一瞬の出来事だった。


少年のくちびるがやわらかさを感じた。


「きゃー。」


状況を理解した少年は少しほほがゆるんだが、顔を真っ赤にした少女にビンタをもらった。脳に電流が走った。


そして不完全だが宿命を思い出した。


「手をふれあうと何か恐ろしいことがおこる。」


少年は、複雑な心境で保健室をあとにした。


まだ紅潮している少女は、


「ちょっとやりすぎたかな。」


と、少年の心配をしていた。

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