第2話
少女は寝坊した。今日は高校の入学式だ。あわてて支度し、家を飛び出した。少女は、重要なことを忘れていた。それは激しい尿意となって少女に思い出させた。しかし、どちらかというと学校の方が近い。学校に全力で急ぐことにした。あとは、歩道橋を渡るだけだ。
突然、歩道橋の階段を降りていた幼い男の子がバランスを崩して転倒した。少女はあわてて手を差し出し、間一髪で幼い男の子を助けた。
「助けてくれて、ありがとう。」
その一言で充分だったのに。
「お姉さん、大丈夫?」
ああ、悲しいことよ。少女は力が入ったあまり、漏らしてしまったのだ。
泣く泣く家に帰った少女は、風呂に入り、着替えし、遅刻を確定させていた。学校に着くとすぐに入学式の行われている体育館に通された。もう式も中盤だった。ぽっかり空いた自分のスペースに立ったのはよかったのだが、少女にはやけに暑いと感じられた。水分補給をせず走ってきたためだろうか。つらいな。早く話終わって。でも、あと少し我慢すれば⋯⋯。
そう考えていると、少女はいつの間にか意識を失い、倒れた。保健室に運ばれた。
うなされながら横になっていると突然強風が吹いた。うなされながらも何かを感じられたのだろうか。
すると突然、少女の手が何かをを握りしめた。直後、少女は目を覚まし、自分の手が少年の手首を握っているのに気づき、布団に隠れた。少年はポケットから携帯用のナイフを取り出し、刺した。
手応えは、なかった。突如、少年の背後に回り込んだ少女はポケットに忍ばせていたナイフで少年の首を刺した。少年は倒れ、完全に動かなくなった。
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