僕はあの子の手が握れない

@shadowww

第1話 

少年は寝坊した。今日は高校の入学式だ。あわてて支度し、家を飛び出した。少年は、重要なことを忘れていた。それは激しい便意となって少年に思い出させた。しかし、どちらかというと学校の方が近い。学校に全力で急ぐことにした。


あとは、歩道橋を渡るだけだ。突然、歩道橋の階段を降りていた幼女がバランスを崩して転倒した。少年はあわてて手を差し出し、間一髪で幼女を助けた。

「助けてくれて、ありがとう。」

その一言で充分だったのに。

「なんか、くさい。」

ああ、悲しいことよ。少年は力が入ったあまり、漏らしてしまったのだ。


泣く泣く家に帰った少年は、風呂に入り、着替えし、遅刻を確定させていた。

学校に着くとすぐに入学式の行われている体育館に通された。もう式も中盤だった。ぽっかり空いた自分のスペースに立ったのはよかったのだが、少年にはやけに暑いと感じられた。水分補給をせず走ってきたためだろうか。つらいな。早く話終われー。でも、あと少し我慢すれば⋯⋯。

そう考えていると、少年はいつの間にか意識を失い、倒れた。保健室に運ばれた。


目を覚ますと白い天井、周囲にはカーテンがあることに気づいた。こんなことをしている場合じゃない。そう思った少年は、立ち上がり、カーテンを引いた。窓が開いていて、誰も見あたらなかった。


突然強風が吹いた、カーテンはめくれあがり、別のベッドで横になっていた少女が目に入ってきた。寝ているというか、うなされているようだった。どこかでみたことがある顔だと思った少年は少女に近づいた。


すると突然、少女の手が少年の手首を握りしめた。直後、少女は目を覚まし、顔を赤らめて布団で顔を隠した。


少年はポケットから携帯用のナイフを取り出し、少女を刺した。布団は赤く染まり、少女は完全に動かなくなった。

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