第2話 「あたらしいせかいのはなし」
翌日、私は自宅のベッドにいた。昨日はかなり酩酊していたのか、どうやってここまでたどり着いたかは定かでない。
今日からは特進クラスの担当になるというのに、こんな調子では先が思いやられる、とひとり苦笑して、家を出る。
「―それでは、授業を始めます」
「一同、起立!」
学級委員長である湯川 あかねが号令を出すと、まるて昔の軍隊のようにいっせいに立ち上がった。
「「「おはようございます!」」」
「着席!」
「みなさん、おはようございます。今日から特進担当になった―」
適当に自己紹介を済ませ、本題である授業へと移る。
「今日は『あたらしいせかいのはなし』をします。テキストは15ページから…」
テキストにはこうある。
大昔、我々の祖先は神の星に住んでいた。
神の星では戦争が絶えず、神々の中には嫌気が差してこの星を出ようとしたものがいた。
そこで目をつけられたのが、我々の住む母の星だ。
最初は、2人の柱がこの星にやってきた。
しかしすぐに帰ってしまった。
そしてまた、2人の柱が。
それもまた、すぐに帰った。
そうしたことが何度も繰り返された。
ある日突然に、神々の大群が巨大な船に乗ってやってきた。
神々は労働と、秩序と、愛を司る人形を起こした。
労働は、この星を豊かにした。
秩序は、この星を平定した。
そして愛は、姿を消した。
だから、この星には本当の愛はない。
(何度聞けども、胸糞の悪い話だな)
ばからしい話。「特進クラス」の授業内容とはかけ離れているような気がしてならない。
「特進クラス」は、この星のエリートを養成するための専門コースとして創設され、その指導内容の一切は政府直属の教育委員会によって決定されている。
「特進クラス」の生徒は、その直系がすべて自然分娩で生まれたもののみが参加可能とされる、政治的な意味合いの強いクラスだ。
そして、かれらがやがて、この星の統治者となるのだ。
教師である私が、セクサロイドを購入したということ。 @MrMoJaVe
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