第10話突然のさよなら。
「やった〜さとる来てくれたっ!」
素直に嬉しいな。
「だって、お前来いって言ったから⋯」
私が笑顔向けるとさとるは照れた。
「さとる可愛いねっフフッ」
「お前のが可愛いから⋯」
そう言いながらいつの間にか壁ドンされていた。
「さっ⋯さとるって背大っきいね⋯ハハハ⋯」
目を反らしながら言うと顎クイされ目線を合わせられた。
「詩音⋯こっち向け」
ドキッ⋯初めて名前呼んでくれた。
「⋯⋯ッ。」
いつの間にか、さとるに抱きしめられていた。
「好き⋯」
思わずさとるに言ってしまった。
「⋯ごめん。俺、彼女いるんだ⋯」
はっ?
えっ⋯待ってじゃ⋯、何でこんな事するの?
いつの間にか、涙が溢れてきて慌ててさとるから目を反らしてしまった。
「そっ⋯か、なんかごめん。」
あぁ⋯ヤバい涙がとまらない。
拭いても拭いても流れ続ける。
「詩音っ⋯泣くなよ。」
そして、気づいたらキスされていた。
「ダ⋯ダメ、さとる彼女居るんでしょ⋯?」
「詩音っ、黙れっ。」
そしてまた深く私にキスをした。
「⋯ッ、さ⋯とる。」
彼女さんごめん。
今だけ、さとるを感じさせて。
「⋯ッハ、しおん⋯。」
どちらともなく身をまかした。
服を脱がされ、さとるが優しく私を抱きしめた。
「さとる⋯私今すごく幸せ。
ありがとう⋯」
そう言い乱れた服をなおしていると
「ただいま〜。」
ヤバいっ、あいちゃんたちが帰ってきた。
「兄ちゃん、どこ〜?」
「おっ、おぉ〜おかえり。」
「兄ちゃん顔赤いょ?」
「そっそうか?普通だぞ?」
「おばさん、こんにちは。」
「あら、詩音ちゃんさとると遊んでたのね。」
ニコニコお母さんが聞いてきた。
「さとるが珍しいわね〜」
なんて言いながらさとるがイジられていた。
「じゃ、じゃ〜私帰りますね。」
「詩音ちゃんまたね。」
「しーちゃん〜」ギュッ〜。
だけど、これが最後だった。
さとるたちは、次の日引越してしまった。
私が学校に行っている間に。
また、孤独になった。
さよなら⋯さとる、あいちゃん。
夏の恋 彩羽 @iroha2
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