3. “Murder Challenge Program”
「美亜!」
私の目の前に広がるのは、体育館のスクリーンではなかった。青いタイルに白い壁。林立する冷たい器械。起き上がった私を鮫島先生と、見知らぬ女子生徒(たぶん先輩)が心配そうに見つめていた。どうやらベンチプレス用のベッドの上へ寝かされていたらしい。どれくらい時間が経ってしまったのか。頭ががんがんするし目が痛い。疲れ切っていた。
「エマ、大丈夫か?」
「えっと……はぁ、なんとか……」
私は先生の言葉へあいまいに返事をした。乱れた髪を手櫛で直すと湿気が指へまとわりつく。それで私は、汗をぐっしょりとかいていることにも気がついた。
「何が……私、なんで寝てるんですか?」
「あなた、あれを見たんでしょう? 気を失って当然よ。私もまだ気持ち悪くて……」
質問に答えたのは知らない女子生徒の方だった。彼女が指差す先を恐る恐る振り返ると、機械のそばに白くなって倒れている人の下半身が見えた。胸から上は白いジャージで覆い隠されていたけど、そのジャージには赤い染みができてしまっている。それを見てようやく、私は鮫島先生がジャージを脱いでいたことにも気づいた。
ちかちかするもやを、頭を振って払いのける。
「また、誰かが……?」
「そうだ……。四月の事件からひと月も経ってないっていうのに、もう二回目の事件が……」
私はよせばいいのに、視界の端で誰かの死体を捉えては目を背けるという行為を繰り返す。見ていなくても意識の大半をそちらへ持っていかれてしまうような気分。頭の中が真っ赤に染まっていく。いけない。考えては。私はカウンセラーに教わった気分を落ち着かせる方法を試す。目を閉じる。心拍数を数えて、息を大きく吸って吐いてを繰り返す。意識を自分の体の内で起こっていることに集中するんだ。外じゃなくて……。
「第一発見者が起きたか」
私の自己セラピーが無遠慮な声でぶつ切りにされた。目を開けて顔を上げると、そこには大柄な男子生徒が立っていた。仏頂面で、こちらを見下すような雰囲気があるのは単に位置関係のせいだろうか。日に焼けた肌と飾り気のない短髪から、運動部に所属していそうなイメージがあった。制服のブレザーは少し着崩していて、ネクタイは下の方で緩く結ばれている。
「えっと……あなたは」
「生徒会副会長、
生徒会警察? 田淵は印籠でもかざすかのような大仰な口調で言ったけど、私は突然の、明らかな造語に呆然とした。その二つの言葉がドッキングする日が来るとは思っていなかったから、どう反応していいかわからない。生徒会が、警察? そもそも高校に警察とは?
私が口を開いてノーリアクションを貫くので、田淵はうんざりしたような顔になった。
「……おい、まさか五月にもなって生徒会警察の存在が周知されてないのか? どうなってんだ一年は」
「仕方がないだろう。エマは四月から欠席が続いてたし、MCPの仕組みには疎い。面倒がらずに後輩へ説明してやれ」
鮫島先生が指摘すると、田淵先輩(らしい)は露骨にめんどくさそうな顔になった。それでも先生の言うことに理があると思ったのか、先輩はブレザーの内ポケットから白い冊子を取り出して手渡してきた。表紙には大きく黒い字で『MCP』と書かれている。その下には小さく『Murder Challenge Programルールブック』とあった。私には見覚えがない。だけど光沢のある白に無機質なゴシック体が躍るのを見ていると、それだけで気持ちがざわついてくる。いい予感はしなかった。
「生徒会警察は、四月初頭に発生した一年生の安西美亜殺人事件、通称『赤崎高校第一事件』の反省を受けて発足した組織だ。その名の通り生徒会が中心となって指揮を執り、初動捜査とその後の捜査権の割り振りを行うことになっている」
「はぁ……」
私の耳を、田淵先輩の説明が右から左へと抜けていく。いまいち内容が想像できないのもあったけど、私の頭には一つの言葉がずっと反響していた。
安西美亜殺人事件。通称『赤崎高校第一事件』。
そうやって数字にされてしまうと遠く感じるけど、私が親友を失ってからひと月しか経っていない。
「おい聞いてんのか!」
「わっ、すいません……」
うわの空になっていたせいで、田淵先輩に怒鳴られた。それを見た鮫島先生と隣の女子生徒が眉をひそめる。
「田淵、そう怒鳴るな。エマはさっき起きたばかりなんだぞ」
「そうですね。じゃあさっさと事情聴取させていただきましょうか」
田淵は先生に向かって皮肉っぽく言うと、手帳を取り出した。ただペンを右手でくるくる回していて、あまりメモを取ろうという気が感じられない。手帳の紙面も真っ白で何も書かれていなかった。田淵は立ったまま視線をこちらへ向けてくる。
「じゃあまず名前とクラス、部活は?」
「一年六組のエマです。
「エマ・ペギー……オールドマン? オールドマンねぇ……」
田淵先輩はラストネームを繰り返しながら私をじろじろと見てくる。だから自己紹介は好きじゃない。オールドでもなければマンでもない私の苗字がオールドマンというのは、日本人には違和感があるようだ。だからってそんなに不思議そうに見られても、私にはどうしようもないのだけど。文句ならオールドマンなんて汎用性のない苗字にしてしまったご先祖様に言ってほしかった。
「じゃあオールドマン。いまから遺体発見までのお前の動きを尋ねるが……その前に、お前、ここで何があったかどこまで知ってるんだ?」
「いや、ほとんど……この部屋に入ったら死体があって、それで気を失ったきりなので」
実際その通りだった。私はここで誰かが死んだということした知らなかった。先生のジャージを被せられているその人がどこの誰なのか、いつ、どのように死んだのか私にはさっぱりだった。もっとも、知りたいとも思わなかったけど。
知ってしまうと、また美亜のことを思い出してしまいそうで。
「被害者は三年六組の須藤
「レポート?」
また知らない言葉だ。田淵先輩は面倒そうな顔を隠さない。
「レポートは全生徒に配布される、事件の概要をまとめたものだ。それを見ればわかることだが……死因は後頭部を固いもので殴られたことによる撲殺。……いや、これはレポートがなくても一目瞭然か」
「固いものによる、撲殺……」
私は田淵先輩の言葉を繰り返す。脳内にほんの一瞬だけ目の当たりにした遺体、須藤樹里の姿がフラッシュバックした。潰れたイチゴのようになった頭。床へ広く飛び散る鮮血。あれは確か……。
「何か……おもりに挟まっていませんでしたか?」
「そうだ。上にぶら下がったバーを引っ張って下ろすことで背中や肩の筋肉を鍛える器械、ラットプルダウンマシンのおもりの間に挟まっていた。九十キロ近いおもりを頭に受けたんだ。即死だっただろうな」
田淵の口調はあまり気の毒がっている風ではなかった。
「それで、オールドマン。お前は遺体を発見するまでどこにいた? どういう経緯で遺体を発見したんだ?」
「田淵、それは私が説明しただろう?」
「先生、一応の確認ですよ。それで、どうなんだオールドマン」
オールドマンオールドマンと、あまり好きじゃない苗字を連呼されるのは嫌だったけど、私はそのことへクレームを申し立てられるほど元気がなかった。早く帰って眠りたいという思いがつのる。だから私は唯々諾々と、田淵の質問に答えることにした。
「……遺体を発見する前は、鮫島先生と体育館のフロアで体力テストの測定をしていました。それがたぶん十七時半からで、終わったのが十八時を少し、いやけっこう過ぎた頃でした。あれは十八時半くらい?」
「いや、もっとだった。十八時四十分くらいだ」
私の話に先生が口を挟んできた。田淵先輩が嫌そうな顔をする。
「先生、いまはオールドマンに聞いてるんですけど。で……オールドマン。そのあいだ先生とはずっと一緒にいたのか?」
「えっと……確か……ほとんどは一緒でしたけど、そんなにはっきり言えるほどでは。トイレに行ったり休憩したときに一人になることはあったので」
「なるほど。ちなみに測定した競技の順番は覚えてるか?」
「最初が長座体前屈でした。次に反復横跳びで、その後に握力を。あと上体起こしをして、最後に二十メートルシャトルランでした」
「ふうん……矛盾はないな」
田淵先輩はそう呟くも、手帳にメモは取らなかった。真っ白なページをぱたぱたと繰っている。頭の中で何を確認しているのだろうか。
「田淵、こっちは終わったよ」
トレーニングルームの出入口から、女性の声が響いた。高く澄み渡るような声。すんとすました女子生徒が立っていた。田淵先輩とは対照的に、寸分の乱れもなく制服を身にまとい、他人から距離を置くような冷たさを発散している。
彼女は短く揃えられた髪を揺らしながらこちらへ近づいてくる。その後ろをぞろぞろと、三人の女子生徒がついてきた。一番目と三番目の人は同じ、たぶん部活で揃えた青いジャージ姿で、二番目の人はそれとは違う市販のものらしいジャージを着ていた。みんな顔が疲れ切っていて憔悴しているけど、特に二番目に入ってきた、ポニーテールの背が高い人が険しい顔でぐったりしている。
「伊藤、どうだった?」
「目ぼしい情報はなし。みんなアリバイがあるようなないようなって感じだったわ」
伊藤と呼ばれた人は、田淵先輩の言葉へ眉間にしわを寄せて答えた。人形のように整った顔が歪む。話を聞く限り、彼女も生徒会警察のメンバーということだろうか。アリバイを聞いていたということは後ろの三人も容疑者?
「お前が倒れてからな、慌てて体育館を閉鎖したんだ。いまここにいるのは事件が起きた時間、体育館にいた全員だ。生徒会警察の二人を除けばだけど」
私がきょろきょろと部屋に集まった人たちを眺めていると、先生が補足してくれた。思えば、伊藤先輩(田淵先輩とため口で会話しているということは、彼女もたぶん先輩だろう)の後ろからやってきた三人も筋肉質で明らかに運動をしている人の体をしていた。たぶんこの時間まで練習をしていて、事件に巻き込まれたのだ。私のように。
田淵先輩は結局何も書かなかった手帳をしまい込むと、大仰な仕草で全員を見回した。伊藤先輩は私たちの輪から一歩引いてその様子を眺めている。どうやらこの事件の捜査を主導するのは、副会長の田淵先輩のようだ。
「よし……じゃあみんな、捜査への協力ありがとう。だがもう少し付き合ってほしい」
「ちょっと、いい加減にしてくれない? 親から早く帰って来いって電話が来てんだけどさ」
田淵先輩に食って掛かるように言ったのは、さっき部屋に入ってきた一人だった。色黒で背が低い。彼女が動いたことでジャージがひるがえり、背中の「排球部」という文字が見えた。それはつまり、えっと、まぁ、漢字が読めないから何の部活かはわからない。バスケだっけ?
田淵先輩はその人へ向かって、手で制止するようなポーズをとる。
「もう少しだから待て、相田。もう少しで全部終わる」
そういう口調は、さして焦ったり慌てたりしておらず、落ち着いていた。相田と呼ばれた人は不満そうな顔をしつつも引き下がり、スマホを覗いて何かを打ち込み始めた。
「さてみんな、状況を整理しようか。十七時から十九時の間に、須藤樹里がここで殺害された。その時間のあいだ、この体育館に出入りした人間はここにいるメンツだけだ。つまり、エマ・オールドマンと鮫島恵美先生」
田淵先輩は私と先生を順番に指さした。オールドマンという言葉で、周りの人たちが私をじろじろと見てくる。
「長瀬
田淵先輩の手が、私の隣にいた女子生徒へ移る。そういえば名前を知らなかった。
「相田
最後は伊藤先輩が連れてきた三人を、その順番に。金沢先輩(たぶん先輩)は指をさされると顔をしかめた。
「都合六名。須藤樹里を殺害できたのはこのうちの誰かしかない」
「私は殺していない!」
田淵先輩の声を遮って、悲痛な叫びがあがった。飯山と呼ばれた人だ。一番辛そうな顔をしていた人。彼女は俯いたまま声を絞り出す。
「私と樹里は、同じ部活で一緒に稽古してきた仲間だぞ。三年も、ずっと一緒に、戦ってきた……そんな相手を殺すわけあるか! MCPだかなんだか知らないけど、誰かを殺さなきゃいけないなら、私は違う別の誰かを殺す……樹里じゃなくてだ」
飯山先輩の言葉に、心臓を掴まれたような気持ちになる。先輩の握りしめる手を見ていると、自然に私の手にも力が入る。反射的にミサンガを握りしめていた。
田淵先輩はそんな飯山先輩の言葉に、気楽そうに肩をすくめると「そうだろうな」と言った。
「少なくとも俺はお前が犯人だとは思ってないよ。それは後から説明するが……先に用事を済ませよう。伊藤、須藤にかかってるジャージを取れ」
「ええ……」
伊藤先輩は遺体をちらりと見て、頭を振った。だけど田淵先輩と視線を交わすと、指示に従うことにしたのかため息をついて機械へと歩み寄っていく。彼女は腰を引き気味にしゃがみジャージの隅っこを指先で摘まむと、顔を背けて一気にジャージを引っ張った。
私は顔を逸らさなかった。というか、磁石みたいに引き寄せられて逸らせなかった。被害者の潰れた頭部が晒され、小さく悲鳴があがる。飯山先輩は顔を手で覆ってしまっていた。長瀬先輩は私の肩に手を当てて、大丈夫と小さく呟く。相田先輩と金沢先輩はうわっと声をあげて背を向けた。
須藤先輩の頭には何枚も積み重なったプレートがめり込んでいる。血で汚れてはっきりとは見えないけど、一番下のプレートには八十九と書かれていた。それだけの重く硬いものが落ちてきたらやはり、ひとたまりもなかっただろう。幸いというべきか、須藤先輩の顔は向こうを向いていて、どのような表情で亡くなったのかはわからなかった。
私はまたフラッシュバックした、美亜の死に顔を振り払う。
「被害者をこのままにしておくのはさすがに可哀そうだ。なんとかこのおもりから解き放ってやりたいが、見ての通り八十九キロもあって俺でも持ち上がらない。誰か手伝ってくれないか?」
「じゃあ私がやろう」
鮫島先生が答えた。先生はマシンまで近づくと、立ったままぶら下がっているバーを握りしめ、足を広げたり立ち位置を確かめたりする。
「伊藤、手伝ってくれ。私が持ち上げたら遺体を引っ張ってマシンからどかせ」
伊藤先輩はまた私かと顔をしかめつつ、遺体の足を握った。先生はそれを見ると、息を大きくゆっくりと吐いていく。そして十秒ほどそうしたかと思うと、一気に吸って体を大きく後ろへ沈みこませた。体重も使って持ち上げるつもりだ。先生が歯を食いしばって腕を引くと、おもりがわずかながら浮く。
「すごい……」
長瀬先輩が感嘆の声を漏らしていた。全身の力を使っているとはいえ、女性が九十キロを持ち上げるのは並大抵のことではないはずだ。伊藤先輩はおもりが持ち上がった隙に、大急ぎで遺体を引っ張ってマシンから遠ざけた。遺体の頭が抜けると、大きな音を立てておもりが落ちる。先生はさすがに疲れたのか、その場に座り込んで荒く息を吐いた。
「はぁ……よし、うまくいった」
「ありがとうございます先生。そしていま、この事件の犯人もわかりました」
「え?」
遺体を触った手をウェットティッシュで拭いていた伊藤先輩が、頓狂な声をあげた。遺体から顔を背けていた全員が田淵先輩を見る。田淵先輩は解決編に突入した探偵のように、堂々と視線を受けている。
「犯人が分かった? 誰だ」
飯山先輩が田淵先輩に食って掛かった。田淵先輩はそれを無言で制すると、もったいぶるように右腕を上にあげる。そして突き刺すように指さした。
鮫島先生を。
「鮫島先生、あなたがこの事件の犯人だ」
無言が部屋を駆け抜けた。名指しされた鮫島先生は口をぽかんと開けている。須藤先輩の無念を晴らしたいはずの飯山先輩もさっきの勢いをあっという間に失い、中途半端に前のめりになった状態で制止してしまった。
「……なんで、私なんだ?」
「答えは単純。須藤をあのような状態にするには、少なくともおもりを持ち上げる必要がある。しかし九十キロに迫るプレートを持ち上げられる人間はそうはいない。俺はこの現場を見た瞬間、おもりを持ち上げられる人間こそ犯人だと確信したんですよ。そして現に、先生が持ち上げた。ほかの人間にはできそうにもない。これらのことから論理的に導かれる結論は、あなたが犯人だということだ!」
「マジで言ってんのこいつ」
田淵先輩の推理を、金沢先輩がばっさりと切り落とした。スマホを持った手をぶらつかせて、困ったように先生と田淵先輩を交互に見ている。
「先生が殺しをして得があるの?」
「それはどうでもいい。肝心なのは、この状況を作れたのが鮫島先生だけだったということだ」
「ちょっと、ちょっと待ってください!」
私はたまらず、先輩たちの会話に飛び込んだ。視線が一気に私へ集まる。その視線に私は一瞬怯むけど、鮫島先生が犯人にされかけているところで黙っているわけにはいかなかった。先生に犯行が不可能なことは、私がよくわかっているはずだ。
「鮫島先生は体育館にいた時間、ずっと私と体力テストの測定をしたんですよ? どうやって殺人なんてするんですか?」
「それはお前が言っただろう、オールドマン。常に一緒だったわけじゃないと。ここに須藤を呼び出して殺害しすぐに戻ることは不可能じゃない」
私の指摘にも田淵先輩は全く引かなかった。むしろ、確かにその通りかもしれないと思ってしまう。理屈の上ではありえなくもない……いや待て私。やっぱり鮫島先生が犯人なんてありえない。先生が生徒を殺すなんてことがあってたまるか。
「田淵、とりあえずだ……ここでの結論は保留しておいて、もう遅いから帰らないか?」
「いやいや。そうやって時間を稼いで証拠隠滅を図ろうったってそうはいきませんよ」
「ちょっと田淵、さっきも蘭々が言ったけど、先生が殺すメリットないでしょ? 第一MCPは高校生が推理することを中心としたプログラムで、教師には事件の詳細も伏せられるくらい……」
「そうやって硬直思考だからダメなんだお前は」
「待て、そんな適当な結論で樹里の仇がとれると思うのか?」
「もう帰っていい?」
「どうしよう、これ……」
みんなが口々に喋りだして、もう滅茶苦茶だった。収拾がつかない。私はそれをただ見ているしかできなかった。
床へ投げ出された遺体へ視線がいく。美亜が死んだときもこうだったんだろうか。私は学校を休んでいたから詳しい経緯は知らない。でもこうして出口の見えないやり取りを繰り返して、そのあいだ美亜は放っておかれて……それで犯人は捕まったんだろうか。
ちゃんと美亜を殺した奴は、裁きを受けたんだろうか。私は知らなすぎる。
「あの、先輩方……」
「だから! 絶対鮫島先生が犯人なんだよ。監獄へ入れるべきだ!」
「必要ないでしょう? だいたい監獄に入れるには生徒会警察の承認が」
「おい、穏やかじゃないな。そもそもなんだ監獄って」
「あの……」
私が天を仰ぐのと同時だった。遠くからバカみたいに大きな高笑いが響いたのは。
「あーはっはっはっは! 聞いたぞ田淵ぃ! 相変わらずバカみたいな推理を大声でご苦労なことだ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます