*Ⅴ* 2/9
「……
買い物かごを片手に明華が
駅北東、国道305号沿いのショッピングセンターに慧達はいた。レンタルビデオショップやアミューズメント設備、ファストフード店なども
「もうっ、まったくもう」
ひどく不興を買っていた。
「ただ単に買い物に付き合ってくれとか……
「何と勘違いしたんだ?」
「なんでもなーい!」
慧のくせに生意気な、と
平日午前のショッピングセンターはすいていた。吹き抜けの休憩スペースに老人が座っている。
「えーっと、掃除用具……はもう買ったよな。食料品もOKで、あとはなんだっけ?」
「お酒、お
「うえ、重そう」
「文句言わない、行くよ」
「わぁっ!」
子供のような
「すごい! ララ・ピーチのマジカルステッキだ。コンパクトもある!」
女児向けの
「ピーチの甘さが世界を救う!」
むしろ悪化していた。決めポーズを取る彼女に周囲の子供客が拍手する。恥ずかしい。なるべく視線を合わさないよう退散しかけると。
「あ、ちょっと
「
「よい子のみんなー? あのお兄さんにララ・アップルやってほしいよねー」
「うん!」
「うんじゃねぇよ! おまえらもノリで答えんな!」
必死に固辞するほど周囲の注目を集めてしまう。しまいに耐えかねて逃げ出した。
「こら、逃げるな!」
「にげるなー」
ショッピングカートを押して走る自分に、魔法少女装備の女子高生と子供達が続く。果たして周囲からどう見えたのかはあまり考えたくない。
残りの買い物をすませてファストフード店に入る。
途中の騒動があったため、すっかり疲れてしまっていた。
「ごちそうさま」
あっけらかんと告げてパイを取り去っていく。って、おいちょっと待った。ごちそうさま?
「割り
「ふっふーん」
明華は不敵に
「さっきの写真、お
「……」
「まぁ心配しないで、ここの支払い持ってくれるならちゃんと
「揉んじゃいないだろう……」
「後ろから羽交い締めにされて」
「してねぇし! てか周りに聞こえるような声で言うな!」
「なぁ、あんまり無理はするなよ」
「ん?」
「
「……無理してる風に見える?」
「ちょっとな」
「そっか」
長い
「付き合い長いとこういう時不便だね。隠したいことも秘密にしておけない」
「……」
「でもそれはね、
「
「なんか
分かるか。まぁろくに食事もとってなかったのだ。何もないと思う方が変だろう。実際まだ引きずっている。自分がもう少し早く基地に駆けつけていれば、あいつのそばにいてやればもっとましな結末が待っていたのでは。罪悪感にも似た思いが心をさいなんでいた。
「話して……くれない?」
黒目がちな目が真剣な光をたたえる。あたしだって助けになりたい、慧を支えたいという思いがひしひしと伝わってきた。だが。
「もう少し……待ってくれ」
まだ気持ちの整理がついていない。
(そもそも信じてもらえると思えないしな)
ザイから作られた演算装置が人間の女の子みたいになり、人類のために戦っている。あまりにも
「ごめん! ちょっと隠れさせて!」
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