*Ⅴ* 1/9
第七艦隊がやられたらしい。いつの
多くの情報ソースは
多分事実なのだろう。
全滅ではないにせよ
つまり……
自室の回転
以前グリペンが言っていた。「大陸沿岸が全部ザイの手に落ちたら小松が最前線になる」と。思ったより早くその時が来たということだ。
窓の外でトラックの排気音が
何度か基地には行ってみた。最後に
終わった……ということか。
……。
大きく息を吐いて立ち上がる。家の中にいるとどんどん気分が内向きになってくる。買い物でも兼ねて外に出るか。このところバイトだ体調不良だと全然家事を手伝えていなかったし。
時計を確認。午前十時半、もう店は開いている時刻だ。携帯端末と家の
「おい明華。
……返事がない。
聞こえていないのだろうか、少し声のボリュームを上げてみる。
「おーい、明華」
だが相変わらず反応はなかった。よく見ると彼女は
「ぎゃっ!」
猫が尾を踏まれたような悲鳴。ポニーテールが
「水、出しっ放し」
蛇口を指さすと彼女は
「ご、ごめん。考え事してて。……でもなんでいきなり? 普通に声かけてくれればいいのに」
「ちゃんと声かけたよ。明華が気づかなかっただけだろ」
「そ、そうなんだ」
本当に気もそぞろだったらしい。理由はだいたい分かる。第七艦隊敗走の
「にしてもおまえ、相変わらず脇が弱いよな。昔っからちょっと触られただけで『ぎゃー!』って大げさに。今だって大して強くくすぐってないだろ」
「だ、
「じゃあもう一度くすぐっていいか?」
「だめ! 絶対だめ!」
血相を変えて後じさる。本気で苦手らしい。「分かった分かった」と両手を上げる。
「もうしない、しないから」
「本当? 絶対?」
「ああ、約束する」
「なら」
「あ、あと謝っておくとさっき少し胸触っちゃったから、悪い」
「……!?」
両目を
「で、さ、ちょっと話を戻すと」
本題に入りかけてふっと思いつく。息抜きが必要なのは彼女も同じではないだろうか。自分と同様、気分転換した方がよいのでは。うん、だよな、やっぱり。
「明華」
「な、なに?」
緊張した様子で胸を隠される。固まる彼女に目線を合わせ、
「付き合ってくれないか」
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