*Ⅳ* 5/9
ガチャーンとけたたましい音が
配膳所の前でグリペンが
「あ……
「触るな化け物!」
「何食わぬ顔して出歩きやがって。おかしいだろ。なんでおまえみたいなのが野放しになってるんだ? え? どうして自由に動き回れてるんだよ」
「わた……しは」
「
異様な
「やめてください! 何してるんですか!?」
視線をもたげ
「なんだおまえは」
「こいつの調整に協力してる者です。それよりどうしたっていうんですか。ただ転んで皿を落としただけでしょう。怒鳴りつけるような話じゃないはずです」
だいいちグリペンは非を認め相手の汚れを
だが隊員は「調整……協力?」と口角をもたげた。
「そうか、おまえも
「好き勝手……って」
「怪物は怪物らしく
何を……言っているのか。
分からない。グリペンが怪物だと言っているのか? いや怪物のような戦闘能力を持っているのは確かだが、彼女の力はザイに向けられている。助けになりこそすれ
「戦死者が出たって言いますけど」
押し殺した声で
「こいつだって不調の中、危険な任務に投入されてるんです。一人だけ楽してるわけじゃない。なのに一方的に責め立てるとかおかしいでしょう?」
隊員の顔が面食らったように
「まさかおまえ……知らないのか?」
「? 何がですか」
「そいつが何でできているかだよ」
「どういうことです」と
「
あとから考えればこの時、彼女の意見に従うべきだったのかもしれない。だが混乱が足を鈍らせた。思考を遅延させた。言葉を失い
「そいつらは……アニマは、
……。
え?
今なんて言われた。アニマが……ザイでできている?
人類の科学を超越したドーター・アニマの力。
基地内におけるグリペンへの
そして
(グリペンが……ザイ?)
母親を殺し、
「
……っ!
気づけば差し伸べられた手を払っていた。恐怖に顔が
グリペンが
瞬間自分が何か大切なものを打ち壊してしまったことに気づく。だがもはや取り返しがつかない。グリペンは
「グリペ──」
呼びかける間もなくペールピンクの髪が
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