*Ⅱ* 3/4
「なんとか初飛行にはこぎつけたがね、ドーターとしてのグリペンは非常に不安定だ。簡単に機能
「……」
「で、今日だ。修理に出して以来あいつはまた絶不調でな。飛行はおろか再セットアップさえまともにできなかった。一体どうすべきか悩んでいたら監視カメラに見慣れた顔が映ってな。
「意味が……分かりません」
「
だからと。
「あいつを飛べるようにしてやってほしい」
……。
「は、はぁっ?」
何を言ってるんだと思う。戦闘機を飛行可能にしろ? それもドーターだかアニマだかという最新技術の塊を? できるわけがない。無茶苦茶だ。自分の持っている知識なんてせいぜいセスナレベルだ。それも別に整備士の資格を取ったわけではない。
「む、無理に決まってるでしょう。俺は専門知識も何もないただの学生ですよ。専門家さえ分からない話をどうしろっていうんですか。だいたい今みたいに
「おいおい」
八代通は鼻を鳴らした。
「君は知らんだろうがな、俺は
確かにわざわざ
だが
「というか、あのパイロットの子はどうなんです? 彼女に機体の調子を見ながら調整を進めてもらえば」
何せあれだけの操縦技術を持っているのだ。専門の整備士でなくとも十分有益な助言はできるだろうと思ったが。
「パイロット?」
「え、ええ、あのピンク色っぽい髪をした女の子」
乗っていたでしょう? と言うと八代通は天を
「これだけ説明したのにまだ伝わらないのか? まったく面倒だな。一体君は何を聞いていたんだ」
「な、何って」
八代通の
「いいか、もう一度言うぞ。ドーターはザイの機動に
「無人……機?」
「お、来たか」
顔を上げる。視界の端でペールピンクの髪が揺れた。
いつの間に現れたのか、八代通の橫に小柄な少女が立っていた。深い灰色の
どくりと心臓が高鳴った。彼女だ。あの戦場で、
八代通はやや
「紹介しよう、彼女がJAS39グリペン。問題の自動操縦装置──アニマだ」
……は?
両の目をしばたたく。
何、今なんて言った。
(装置?)
少女はぺこりと頭を下げてきた。放心する
「この子はもうすぐ
肥満体の研究者は
「彼女をなんとか使いものになるようにしてほしい。人類の明日のために、やがて
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