マカロンタルト

マカロンタルト


君が遺影を抱えている夢を見たんだ。ざっくり。踏みしめた土に、落ち葉。お菓子をばら撒いた後に踏みつけてしまった、そんな音を立てる。桜の木がたくさん生えたその場所で、遺影を抱えている。それは、誰の遺影なのか。わからないけれど、君はずっと遺影を抱えている。


「私が死んだらどうする?」

おかしなことをきくな。と小声で返ってきた。放課後の教室、机の上には溢れかえったポテトチップス。放課後の教室。友人たちを待っているついでに二人で特に意味のない話をしていた。パリパリ、心地よい音がする。

「どうもしない」

何枚かポテトチップスを口にした後、拓ちゃんは変わらない顔でそう答えた。パリパリ、二人で並んで無言でポテトチップスを食べる。コンソメ味。コンソメ味って何者なんだろうね。スープもおいしいし、最強の食べ物? 味だと思う。作った人物に感謝感激。忘れるまで崇拝しておくね。ありがとうございます。

「変な夢を見たの」

 そういうと、拓ちゃんはポテトチップスに伸ばした手を引っ込めた。放課後の教室で、グラウンドとは反対方向に位置しているといっても、野球部の掛け声や吹奏楽部の楽器の音、チアリーディング部の華やかな声が響き渡って、教室を跳ね返る。

「そうか」

「うん、そうなの」

 その夢で、拓ちゃんが遺影を抱えているなんて言ったら、どんな顔をするのかな。


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