第7話 繋がり

 わからない。ご飯を食べている間も単純群という意味不明の言葉が頭から離れない。

 もしかしたらこのQリングの謎もとい呪いが解けるかもと思って買っては見たものの、ちんぷんかんぷんだった。高かったのに、何も俺の人生は変わらない。悪徳商法にかかるとこんな感じだろうか。

 夕食で母親に、数学書を買ったが読めないと言ったら、頭のいい子に相談してみたら?と言われて、それもそうだと電話を入れた。例の賢い、なりとみんなに言われている子だ。

 もしもし。

「まこと君だね。こんばんは。」

 聞きたいことがあんだけどさ。話聞いてくれるか?よくできた友達だと思って電話しているんだけど。

「勉強ならみてあげられるよ。」

 なら話は早いや。いい友達を持って僕は嬉しいよ。いつも世話になりっぱなしで申し訳ないな。それで、お前体論って知ってるか?

「まこと君、体論なんてどうやって知ったんだい?」

 いや。俺にもいろいろあって。わかるか?できれば今すぐ概要ってやつを教えて欲しいんだが。無理か?

「うーん。僕はわからないな。結構難しい話だから。」

 ダメだったか。さっきまで思っていたセリフを回収したい気分に襲われたが知らないんじゃしょうがない。そうか。悪りぃ、ありがとな。他の手を探すよ。

「あ、ちょっと待って。」

 そういうと、なりは受話器を置いて、何やらピピピッと電話越しに音を出し始めた。スマホの音だ。うにゃらかうにゃらかと話し出して、受話器に戻った。

「僕は知らないけど、遠く年の離れたお兄さんが数学の代数学って分野をやっていて。要するに体論なんだけど、聞いたらいいよ。住所教えるから。」

 悪いな。ここまでしてくれて。セリフの回収はよしておこう。せっかく相談に乗ってくれた友達なんだから。

「まこと君が数学に興味あるなんて意外だなあ。本当に知りたいんだね。」

 ん?んん、まあな。

 ひととおりおしゃべりに付き合う。なりは嬉しそうにしていた。まことは男だから話好きなんてよくわからんが、それをいうならなりも男だ。ということは頭がいい男は話好きなのだろう。なら女は頭がいいのかという疑問は持たなかった。

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