第6話 不可解
うーむ。
あれから時間も立つのに、一向にわからない。
なんだ単純群って。単純って書いてあるのに一向にわからないじゃないかよ。
正規部分群?正規?定規じゃなくてか?
アーベルって、英語でどういう意味なんだ?
何もわからない。うーむと唸る。諦めようとしてやっぱり気になる。読む。唸る。
なんのお笑いのコントなのかわからないけれども、テレビで何度も同じギャグを披露するお笑い芸人のようにこれを何度も繰り返した。
やめればいいと自分でも思っている。でもその値段や四桁の貴重な本だと思うと。
諦めようと天使か悪魔かがいう。しかしこれでQリングの謎が解けるとなると。
呪いにかかったように、その本に吸い寄せられ、縛られていた。
「まこと?ごはんよー」
母親からそう声がかかる。ん?もう6時?えええ!?
いつも暇を持て余していた僕が時間を別の形で放り投げたことに、自分で驚いた。ちょっとそれは、僕にとって小さな伝説だった。
数学で、いや、何かで僕が一生懸命になったことなんて、一回もないのに。
ひょっとしたら、僕は天才なんじゃないだろうか。さもなければ、紙一重で天才になれるんじゃないだろうか。
やっぱりダメか。
飯食おう。
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