第4話 合同式

 おう、ナリ。モッドって、なんだ?

 僕はQリングが喋っていたモッドについて、情報収集をし始めた。

「まことくん、なんでmodを知っているの?」

 いや、ちょっと知りたくなって。まさか指輪が光ったから、と素直に嘘のような言葉を発するわけには行かない。

「そう。modっていうのは、あまりのある割り算をするときに、何で割るかを表したものだよ。

 例えば、mod10なら、10で割って、そのあまりが等しい場合、10を法として等しいというんだ。」

 ふーん。それはどういう役に立つんだ?僕はいつも、話の意味がわからなくなるから、このセリフを使ってよく聞くのだが……。

「えーと、それだけなんだけど……。」

 沈黙が不意に顔を表した。

 待っていた。僕はなりの返答を待っていた。なりは僕の反応を伺っていた。数学的に難しい問いかけでも今の僕はそれを聞かなきゃならないんだ。何を恥ずかしがっているんだ、さあ、言ってしまえ。

「あ、そうだ。検算に使えるよ。

 mod10は、下一桁があまりになるから、計算したときそれが一致していなかったら、計算ミスをしているってわかる。16×17=273と計算したとき、16のmodは6で、17のmodは7だ。6×7は42でmodは下一桁だから2だ。一方273は3だ。あまりが異なるということは、計算ミスを犯したことになる。」

 ふーん。検算、か。

 僕は一応ありがとうの代わりにうなづいて見せた。でも「検算」で脳みそに検索をかけてみても、何もわからない。何かを確かめるってことなんだろうか。一体何を?あのQリングのことは何も判明しなかった。残念だけど。

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