第3話 彼女の笑顔

 指輪はあれ以来、机の上に乗っかったままだ。

 持ち歩きたいとも思ったが、貴重品すぎるし、それより何よりあの現象が。

 警戒しないと、何が起きるかわからない。

 引き出しにしまっても、いつのまにか机の上に乗っているし。ポケットに入っているときもある。そういう時はびっくりする。結局机の上に乗せておくのが一番大人しい。

「まこと君、なんか話したいことない?」

 あ、まみ。ごめんまた聴きそびれていた。

「あ。そう。」

 また困らせてしまったかな。

「ううん、いいの。ありがとうね、いつも私の話聞いてくれて。」

 ……いい顔するの疲れないのかな。嬉しいけど……。

 と心の中では思っている。

「じゃあ。また。」

 うっす。手をかざして返事をする。

 なんでいつも一緒に帰るのだろう。

 そんなことを考えて帰路に着いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る