第1話 訛る吸血鬼

コポポポ


「はい、ドーゾ」

「ありがとう、ございます…」


私は、入れて貰った暖かい紅茶を一口、口に含ませた。

あれ?私、何やってんの?


結局あの後、私は言われるがまま、ヴァンパイアに連れられ、この大きいお屋敷に来た。ここが、この人の家らしい。

何なのこのデカさ、私の家の100倍くらいデカイんですけど…。


そして豪華。

使用人も沢山居た。数えきれないくらい。


…そんな人が、どうして私をこんな所に…。

いや、まあついてきた私も私なんだけどさ。あのままあそこで突っ立てるままよりかはいいかな?って思ったし…。

とにかく、なんで私がここにいるのか、この人は知ってそうな感じだった。


私は上目遣いでヴァンパイアを見た。

何を…何をするつもりなの。


「何をするのかって思ってるな?」


ギクッ

バレたぁー。

ダラダラ汗が流れ出てくる。

何、この人、いや、人じゃないか、ヴァンパイアか。


そんなことを考える私に、ヴァンパイアは足を組んで、上から目線でニヤつきながら私を見た。


「な、なんですか…?」

「いんや、なんでもない。しかし、少し聞きたい事があってな…」

ヴァンパイアは席を立つと、金魚の水槽を覗いた。

「なんでもどうぞ」


「お前、名は?」

「御手洗秋生です」


「年齢は?」

「15歳です」


「中学3年生か?」

「あ、はい」


「お前はあそこで、何をしていた?」

「え…?」


「お前は、どこから来た?」

一瞬、目付きが変わった。まるで、敵を見るような、警戒体制をとっているような…。私は、身を小さくした。こ…怖い。


「私は、人間。日本の、東京都に、住んでました」

怖くて、言葉が途切れ途切れになってしまう。自然に顔も下を向いてしまう。

「日本、東京?」

「…はぃ」


流石にもう限界、ここから逃げ出したい。

怖さのパロメーターがマックスになろうとした瞬間。


「もしかして…お前!今回の人間界の転生人か!!」


「……はい?」

人間界の転生人?今回のって、何が?もしかして、私以外にも此処に人間が?

頭がぐるぐるおかしくなる。

わ、分かんない!!何?なんなの!?!?


すると、慌てふためく私に、ヴァンパイアは、私の肩を軽く叩いた。


「まあまあ、落ち着け落ち着け。その様子、お前は今回の転生人ゲストだな?大丈夫、ちゃんと説明してやる」


…よく、分かんないけど、私はきっと、何かに巻き込まれたんだな。

深い深呼吸をすると、私はキッとヴァンパイアを見た、というか、睨んだ。


「説明、お願いします」

フッとヴァンパイアは笑った。

「よっしゃ、んなら説明してやるわ。悪ぃけど、ちょっとついて来てくれんけ?」


「……はい?」


何、その訛り。


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