Story1 第二の職業決定

部長に連れられ向かった先には街でも大きい部類に入る建物だった。


「ここはね、この街の役場なんだ。君たちにはさっき言ったとおりジョブを決めてもらうよ」


部長が歩く先に[ジョブ決定窓口]と書かれた看板と、受け付けの女性がいた。


「どうも、こんにちわ!ジョブの決定ですか?それとも変更ですか?」


「この二人がね、よろしく頼むよ」


「はい!分かりました!」


女性がそう言うと、僕たち新人二人の身が光に包まれた。

視界が真っ白になり、何も見えなくなった。


やがて目の前の光が引き、気づけば全く知らない部屋に居た。

部屋の壁には剣、槍、斧、短剣、杖と本がかけられてあった。


「なんだこの部屋…」


僕が今起きた出来事を頑張って処理している隣でソラ君は迷う事なく短剣を手に取り、


「俺はもう決まったから残りは君だね、マモル君」


「ソラ君…ここはいったい…?」


「ここはジョブ設定部屋、ここでこの世界でのジョブを決めるんだ。

とりあえず武器に触れてみな、説明が出るはずだから」


ソラ君の説明で粗方この部屋については分かった。

言われた通りまずは剣を手に取ってみた。


[ソードファイター 武器タイプ:剣 盾装備可]

守備も攻撃も出来る戦士。様々な攻撃スキルを使え、盾によって自分を守る事も可能な戦士


「うわっ!びっくりした!」


いきなりテキストが目の前に表れ僕はとても驚いた。


「アハハ、初めはびっくりするよね。とりあえずその剣、振ってみなよ」


ソラ君があまりに勧めるので手に取って振ってみた。

僕は剣道なんかやった事も無いので剣を持つのは初めての経験だったけどとても持ちやすかった。


その後他の武器を試してみたけどどれもとても扱いやすくてどれを選ぶか本当に迷った。


「ソラ君、君のおすすめは?」


「どれでも良いんだよね?じゃあ先輩とのバランスも考えるとランサーが一番だと思うよ」


[ランサー 武器タイプ:槍 盾装備可]

槍と他のジョブよりも重い防具と盾を装備する事ができ、味方にバフをかける事も可能。

味方の前に立って注意を引くジョブ


「先輩達のパーティにはランサーとかのタンクが居ないんだよね、だからこの中だとランサーが一番かなー」


「へぇそうなんだ。槍か、楽しそうだな」


槍を手に取り頭の中でこれで良いと考える。

こうすることによってジョブを決定できるとさっきソラ君に教えて貰った。


「ジョブの希望を承認しました。役場へテレポート致します」


僕らの体が来た時と同じ様に光に包まれ、周りの風景が部長と別れた役場に変わった。

最寄りのソファーでは部長がくたびれたように座っている。


「二人共、ちゃんとジョブを決めれたようだな。さぁ今日はこれで終わりだ、ログアウトするよ」


「あの、すみません。ログアウトの方法が分かりません」


「そういやそうだったね。簡単だよ、パソコンのシャットダウンを頭に思い浮かべてごらん」


言われた通りシャットダウンを思い浮かべると、周りの風景が段々遠のいて行った。


「ログアウト完了…ヘルメットをお外し下さい」


初めに聞いた無機質な声と同じ声が聞こえ、メットを外すと、オフィスの天井が目に入った。


「無事に帰ってこられたね、さぁ歓迎会行くぞ!」


部長の一声で今日の仕事が終わり、僕の初出勤は幕を閉じた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る