第44話 冴えない誕生日の過ごしかた【19・9・23加藤恵誕生日記念】
「誕生日おめでとう、恵」
「うん、ありがとう。倫也くん」
俺たちは、イタリアンレストランで恵の誕生日を祝っていた。
「そっか~」
「どうした。急に?」
「ん~、ここが去年、私が来れなかった安芸くんおススメのレストランなんだな~って」
「……」
去年の恵の誕生日……
色々あって、俺は誕生日デートをすっぽかしていた。
「もしかして、さっきみた映画とか、ショッピングって去年の私の誕生日に予定していたデートコースってわけないよね~そんな手抜きしてないよね?倫也くん?」
「その節は、大変申し訳ございませんでしたああああああああああ」
※
「倫也くんってば、なにもあんなに慌てなくもいいのに~」
「それ言っちゃう?そんなこと言っちゃう?」
「でもさ、メインヒロイン的には、嫌味のひとつくらい言ってもいいと思うんだよね~」
「恵、お前本当に強くなったな」
「そりゃあ、押しが強いワガママなオタクの男の子と何年も付き合っていたらそうなるよね~」
「ううう」
「まあ、意地悪はこれくらいにしておいてあげるよ~」
「ああ、ありがとう」
俺はなんとか修羅場を乗り切れたことに安堵する。
「でもね、倫也くん?」
「えっ」
「去年の誕生日、私は本当に楽しみにしていたんだよ。だから……」
恵は珍しく見せるいたずらな笑顔で、優しく語りかけてくれた。
「その分、今日は私を楽しませてね。忘れられない誕生日にして、ね」
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