第37話 冴えない告白のしかた【英梨々編】

「ねぇ、倫也? 今だけは私のことを見て? お願い」

 私は、ずっとずっと好きだった彼にそう願う。


「ごめんね。私は卑怯だから。こんなことしかできない。でも、これが私の本当の気持ち、なんだ」

 そして、私は彼に近づく。


「今日だけは、恵のことを忘れて。そして、私のことだけを見て。じゃないと、私は一生後悔する」

 自分がどれだけ酷いことを言っているのかよく分かっている。でも、もう止めるとこはできない。


「もう、倫也のことだけしか考えられない。絵も家族も仕事も親友も、倫也のためになら捨てられるよ。だから、だから…… 」


「わたしのことを、また、好きになってください」

 星たちが私を見つめていた。そこに彼は、


「なんてね。こんなゲームみたいなこと言えたら、結果は違ったのかな? 倫也?」

 私の負けが決まって、私は妄想を爆発させた。

 こんなことを言う勇気も度胸もあるはずがなかった。あったら、たぶん倫也は私の近くから離れなかっただろう。


「ごめんね、倫也」

 そして、私は自分の世界に没頭する。

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