第33話 冴えない幼馴染の愛したかた(英梨々視点)

「ねえ、倫也、私ね、倫也のことが、好き」

「ああ、俺もだ。英梨々。ずっと、ずっと好きだった。だから……」

「だから?」

「俺と……」

「うん!」

「つ、つきあって、って、うわああああああああああああああああああああああああ」

「急に素に戻るな。今が一番大事なところでしょう」

 倫也の絶叫が私の部屋にこだました。


「ふー、だって、英梨々。これめっちゃくちゃ、恥ずかしいぞ」

「なによ、ちょっと前にエロ同人のネタ合わせにつきあってくれたじゃない。それに比べたら、ましでしょ」

「いや、別ベクトルで、これは恥ずかしい」

「しょうがないじゃない。乙女ゲームの絵を書くことになったから、ラストシーンの一枚絵を書くために、私だって頑張っているのよ」

「ならさ、どうして本名プレイしてるんですか。俺たち……」

「しょうがないでしょ。そのほうが、いい絵がかける気がするんだから」

「……」

「なんで黙るのよ」

「よし、早く終わらせよう」


「なあ、英梨々。俺、英梨々のことが」

「えっ?」

「ずっと好きだった。付き合ってくれ」

「うん。私も、倫也のことが、好き」

「ありがとう」

 そして、私たちは、永遠の愛を誓い……


「あっ、恵から電話だ。もしもし」

 そう言って、倫也は部屋から出ていく。


「あの腹黒メインヒロインがああああ」

 私は、親友にやつあたりした。

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