第30話 いつものふたりのかえりかた【加藤視点】

 放送室を出たとき、日は完全にくれていた。

「今日も疲れたな~ お疲れ、恵」

「そうだね~ 誰かさんが、シナリオのスケジュールを遅らせたからこんなに遅くになっちゃんだよね~」

「それは、言わない約束でしょう~」


「はいはい、言い訳はいいから、はやく帰ろう、倫也くん?」

「おい、待てって、恵」

 私は、わざと彼をおいていこうとするをした……


 私たちはいつもの帰り道をいつものように帰る。

「前から思っていたけど、倫也くんって本当にリアルの女の子に興味ないよね」

「え、そんなわけないじゃん」

「だって、いつも綺麗なひととすれ違っても、あんまりちゃんと見ないし……」

「そうか? あんまり意識してなかったな」

「そうだよ。まあ、霞ヶ丘先輩とか英梨々とか周りに美少女ばかりいるせいで、感覚鈍っているだけかもしれないけどね~」

 ちょっとだけ、意地悪したくなっただけ。

 だから、これくらいいいよね?


「そんなことない。俺はリアルの美少女にも興味あるぞ。それに……」

「それに?」

「恵だって、充分かわいいぞ? よし、行こうぜ。明日は土曜だから、また、今日は徹夜だ~」

 彼は、自分がどれだけ恥ずかしいことを言っているのか自覚がないみたいだ。

 本当になんだかな~


「倫也、くん?」

「ん?」

「そういうとこ、だよ」

 彼は不思議な顔をしていた。

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