第28話 冴えてる朝食のつくりかた【加藤視点】
「う~ん」
私は目をさます。そこは、いつもの彼の部屋だった。
新作ゲームのための合宿。いつものように深夜まで作業をしていた私たちは、いつのまにか眠ってしまったようだ。
もう、朝の9時近く。
私はみんなを起こさないように、キッチンへと向かう。また、倫也君のご両親は、旅行中らしい。
今回は、
人も多いので、手早く作れる朝食を用意しようと冷蔵庫に入れておいた食材を取りだした。
豆腐とわかめ。卵とベーコン。誰がどう見てもわかる朝食の材料だ。
ほとんど包丁を使わなくても作れるのがいい。
私は、鍋に火をかけて、おみそ汁の準備をおこなう。
こんなことを、こんな場所でしているといやおうなしに変なことを考えてしまう。
本当にバカで、幸せなことを……
「ねぇ、加藤さん? ずいぶん幸せそうな顔をして料理を作っているのね」
「きゃっ」
後ろを振り返ると、霞ヶ丘先輩が変な顔で立っていた。
「どうしたんですか? 霞ヶ丘先輩。そんな怖い顔をして~」
「そんな急にフラットにとり作っても、無駄よ、加藤さん。私はすでにあなたの幸せそうな顔をみているのだから」
「そんな顔なんてしてませんよ~」
「いえ、あれは完全にメスの顔だったわ」
「もう、危ないので、部屋に戻っていてくださいよ~」
「その正妻ぶった余裕のある態度がムカつくのよ」
「まあまあ、ならちょっと味見してみてくださいよ~」
私は、おみそ汁をすくって小皿によそい先輩に差し出した。
「うん」
先輩はそう言って黙ってしまった」
「どう、ですか?」
「おいしい、んじゃ、ない?」
「ありがとうございます」
先輩は、バツが悪そうに部屋に引き上げていった。
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