第27話 冴えない二人の明かしかた【加藤視点】
私たちは、久しぶりに英梨々の家で、合宿をしている。
まあ、合宿って言っても、私たちはふたりで違うものを作っているんだけど……
英梨々は、商業関係のイラスト。
私は、新作ゲームのスクリプト。
まるっきり違う作業なんだけど、たまには英梨々がお泊り会をしたいと言ってこうなってしまった。
「ねえ、恵?」
「なに、英梨々?」
英梨々は作業の手を止めて、こちらを見てくる。
私も見つめ返した。
「あんたって、倫也のこと、いつから好きなの?」
「え~、だから、大きくなったり、小さくなったり……」
「それは、温泉で聞いたわ」
「う~ん、いつだろうね? ねぇ、英梨々? カップ焼きそば作ろうか?」
「露骨にごまかさないで」
「え~、だって、恥ずかしいし~」
「なら、私も教えてあげる。小学……」
「いや~、だって、それ知ってるし~」
今日の英梨々はいつになく厳しかった。いつものポンコツ具合はどこにいってしまったのだろうか?
「ねぇ、恵? もしかしてだけどさ。あくまで、もしかしてなんだけどさ。ひとめぼれってわけないわよね?」
「…… そんなわけないでしょ~」
「なに、その微妙な間は。もしかして、図星なの? ねぇ、めぐみっ」
「くすぐったいから、変なところさわらないでよ~、エリリ~」
こうして、私たちの夜は更けていく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます