第27話 冴えない二人の明かしかた【加藤視点】

 私たちは、久しぶりに英梨々の家で、合宿をしている。

 まあ、合宿って言っても、私たちはふたりで違うものを作っているんだけど……

 英梨々は、商業関係のイラスト。

 私は、新作ゲームのスクリプト。


 まるっきり違う作業なんだけど、たまには英梨々がお泊り会をしたいと言ってこうなってしまった。


「ねえ、恵?」

「なに、英梨々?」

 英梨々は作業の手を止めて、こちらを見てくる。


 私も見つめ返した。


「あんたって、倫也のこと、いつから好きなの?」

「え~、だから、大きくなったり、小さくなったり……」

「それは、温泉で聞いたわ」

「う~ん、いつだろうね? ねぇ、英梨々? カップ焼きそば作ろうか?」

「露骨にごまかさないで」

「え~、だって、恥ずかしいし~」

「なら、私も教えてあげる。小学……」

「いや~、だって、それ知ってるし~」

 今日の英梨々はいつになく厳しかった。いつものポンコツ具合はどこにいってしまったのだろうか?


「ねぇ、恵? もしかしてだけどさ。あくまで、もしかしてなんだけどさ。ってわけないわよね?」

「…… そんなわけないでしょ~」

「なに、その微妙な間は。もしかして、図星なの? ねぇ、めぐみっ」

「くすぐったいから、変なところさわらないでよ~、エリリ~」

 こうして、私たちの夜は更けていく。

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