第25話 冴えてるナポリタンのつくりかた

「恵先輩、なにかお手伝いしますか?」

「ああ、出海ちゃん。なら、その野菜を洗ってくれるかな?」

「わかりましたー」

 いつものようにゲーム制作合宿をしている私は、いつものようにみんなに夜食を作っていた。


 今日はだ。


「恵先輩って、本当にお料理上手ですよねー いつもしてるんですか?」

「ううん、家族がいないときに、自分用に作っているくらいだよ」

「そうなんですかー 私、恵先輩のナポリタン大好きです」

「ありがとう、出海ちゃん」

 確か、英梨々は「やきそば」派だったな。カップ焼きそば並みに美味しかったと、褒めてくれたようなそうじゃないようなことを言っていたっけ……


 そういえば、倫也くんにはじめて食べてもらった手料理も「ナポリタン」だったなー ゲーム制作合宿がはじまったばかりのころで……


「どうしたんですか? 恵先輩?」

「えっ?」

「なんだかとても嬉しそうな顔をしていたから」

「そんなことないよ~ 気のせいだよ~ 出海ちゃん」

 フラットな口調で、私はごまかした。これは、自分の中で独占したい思い出だから……

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