第24話 冴えない個別ルートへのすすみかた【加藤視点】

 倫也くんと電話することが増えた。

 ゲームのルートを書くためという口実を使っての楽しい時間。


 でもふとした瞬間、考えてしまうのだ。

 少しでも、タイミングが違えばこの個別ルートには進んでいなかったのかもしれない、と……


 例えば、倫也くんと英梨々がもう少し早く仲直りしていたら……

 倫也くんと霞ヶ丘先輩が、喧嘩していなかったら……

 ふたりが、紅坂朱音さんに気にいられていなかったら……

 あの時間に、あの坂で私と新聞配達をしていたくんが出会えていなかったら……


 そんな簡単なことで、私みたいな女の子のルートなんて吹き飛んでしまっていたに違いない。


「なら、その偶然に感謝しないと、ね? くん?」

 私はあえて、昔の呼び方をした。

 私を見つけてくれた彼の名前を呼びたかったから……


 もうすぐ、私のルートに突入する……

 

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