第22話 冴えない作家のおとしかた

 私たちはいつものように、ファーストフード店で、ラノベの話をする。といっても、彼の話を一方的に聞いてるほうが長いんだけど……


「なんで、真唯があんなに迫ってきてるのに、さゆかはもっとアプローチしかけないだよ」


 とか


「あの三巻のラストの霞詩子節最高でしたよね」


 とか


 私はうんうんとうなづいて、少しだけ恥ずかしくなりながら、彼の私の作品に向けてくれる好意を受け入れていた。


「あっ、でも沙由佳ってちょっと先輩に似てますよね」

「えっ!?」

「なんというか、不器用なところとか、なんか達観してるところとか、その仕草とか……」

「そういえば、倫也くんは、”沙由佳”のこと好き?」

「そりゃあ、もちろん好きだよ。大好きだよ!!」

「そっか」

 この時間が永遠に続いてくれればいいのに…… キャラに似合わず私はそう願った。

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