第21話 冴えない幼馴染のがんばりかた

 私は倫也がいないほうが頑張れるのかもしれない。

 いつもそうだった。

 倫也と喧嘩して、話せなくなると、私は創作活動にちゃんと向き合えるようになるんだ。


 たぶん、私は倫也に認められたくて、絵を描いている。


 そして、倫也に認められてしまうと、途端に描けなくなってしまうのだ。

 この前の冬コミの後のように。


 彼が遠くに行ってしまうと、振り向かせたくて、絵を頑張る。

 そして、倫也を振り返すのだ。


 本当にバカで不器用なやりかただ。

 倫也は、恵のことを冴えないヒロインだと言っていたが、たぶん、私のほうが冴えていない。


 恵は倫也とちゃんと向き合えている。だから、喧嘩しても、私とは違ってすぐに元に戻る。でも、私は……

 

「負けたくない」

 なにもかも。どんなクリエイターにも。どんな女にも。

 そして、私は倫也の隣にいたかった。


 いたかった……


 夜空だけが、私の隣にいてくれた。

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