「ねぇ、あんたは、倫也のどこがいいのよ？」

　ふたりで仕事中に、残念な金髪ツインテールはどうしようもないことを聞いてきた。この修羅場に、この子はどうして恋バナを吹っかけてくるのだろうか？

「ねえ、澤村さん？　この状況がどれだけ修羅場だか、本当にわかってる？」

「わかってるわよ、そんなことくらい」

「じゃあ、どうしてこのタイミングで？」

「しょうがないじゃない。きになっちゃったもんは、気になっちゃったんだもん」

　徹夜続きで、お互いにテンションがおかしくなっていた。

「そんなに聞きたいなら、まずは自分から話すべきだと思うけど、澤村さん？」

「しょうがないわね～　なら、話してあげるわ」

「そんな上から目線で言われても困るのだけど……」

　残念幼馴染は、嬉しそうに口を開いた。

「まずは、優しい」

「ただの、優柔不断なだけだと思うけど」

「それから、ずっと私のことをみていてくれる」

「それは、あなたじゃなくて、柏木エリのことじゃない？」

「あとは、オタク」

「しょうもないことを挙げ始めたわね、この金髪チョロインは……」

「あ～、ああいえばこう言う。じゃあ、あんたはどうなのよ、霞ヶ丘詩羽！？」

「私は……」

「なんなのよ」

「私のことを、いっぱい褒めてくれるところ」

「……」

「私たちって……」

「本当に……」

「「チョロインよね」」

　珍しく意見が一致して、夜が更けていく。

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