第17話 冴えない主人公のからかいかた

 俺は、新作ゲームのプロットづくりのため、ひたすらPCとにらめっこしている。


 俺のベッドには、美智留が上機嫌に鼻歌まじりに作曲をしている。 その薄着で、部屋をうろつくのはやめてくれと言っているのに、相変わらずマイペースな美智留は、俺の忠告に耳を貸そうともしなかった。まあ、なにはともあれ、うん、ゲーム制作サークルのあるべき姿だ。いつもこうだったらいいのに……


「ねえ、トモ? 前々から聞いてみたかったんだけどさ?」

「なに?」


「トモってさ、加藤ちゃんのことどう思ってるの?」

「はあ? 加藤のこと? なに言ってるんだ。前々から、言ってるだろう。加藤は、俺のゲームのメインヒロインだって……」

「いや、そうじゃなくてさ。リアルな加藤ちゃんのこと。彼女にしたいの? それとも、ただのクラスメイト? ただの、サークル副代表?」

「なんで、そんなこと聞くんだよ」

「いや、やっぱり、そこんところはっきりしておかなくちゃさ。エチカとかランコに教えられないじゃん」

「なにを教えるんだよ。いいから、早く作曲してくれよな」

「へいへい~」


 そう言って、美智留はギターを弾きはずめる。

 ヤレヤレと俺はキーボードを打つ。


「ところでさ、トモ?」

「なんだよ。夜食のピザか?」

「トモって、やましいことがあるとき、メガネを頻繁に触るのが癖だって、自覚してる?」

 俺は、あわてて、メガネから手を離した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る