第15話 冴えない買い物(加藤視点)

「おい、恵。いったいどんだけ買うんだよ」

 倫也くんは、そう言って泣きそうな顔をしている。ここはいつものスーパー。みんなでゲーム合宿をする予定だったので、食料品の買い出しにふたりで来ていたのだった。


「そうは言ってもさ~ 倫也くんの家の冷蔵庫空っぽだったよね~ 連休中のゲーム制作合宿あるのに、買い忘れていた代表は荷物持ちくらいちゃんとしてくれないとね~」

 そう言って、持ち帰るのが大変だと抗議する倫也くんを無視して、わたしは玉ねぎをかごに入れる。今日の夜食はいつものようにナポリタンにしよう。みんな好きだし。わたしは、ピーマンもかごに入れる。


「なあ、なんか恵? 上機嫌じゃないか」

 倫也くんは急に真面目な顔になった。いつもそれくらい鋭かったらいいのにな~ ホント、なんだかな~


「え~、そんなことないよ~」

「そっか」

 そうやって、すぐ納得してしまう鈍感主人公なんだからな~


 ちょっと、デート感覚になっているってことくらい、察して欲しいな……

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