第11話 冴えない挫折のなおしかた【霞ヶ丘視点】

 本当に屈辱だ。

 金髪ツインテールに慰められて、倫理くんにまで心配されてしまった。あげくに、彼のサークルの合宿には水をさす結果となってしまった。


 どうして、私はこうなんだろう。澤村さんと私にはすでに大きな才能の溝ができはじめている。隣にいればいるほど、澤村さん、そして、高坂茜の才能に押しつぶされている自分がいた。


 結局、わたしはなにをしているのだろうか?

 

 クリエイターとしては、あの二人に負けて、好きなひとからは恋愛対象には見られない。ならば、彼が目指す理想像だけはと背伸びをした結果がこれだ。


 あの時から、何度目かわからないため息をついた。


 こういう時は……。


 わたしは、パソコンを立ち上げる。

 彼が作ってくれたゲームをやるために。


「また、わたしにおんぶにだっこして、ね」


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る